*奏さん宅『きんぎょひめ』の紅ちゃんお借りしました
*戦国BSR×鬼徹とのクロスオーバー
*後半から現代パロに変わるのでどんなものも許せる人のみ推奨
ある日、戦国時代から迷い込んだ同い年くらいの女の子と出会った。
鬼灯は別の仕事で忙しく閻魔大王の尻を蹴―――ごほん、
補佐としてテキパキ働いているのだからここは私がしっかりやらねば!
おぎゃあ!とごろごろ転がっていく自分を見て、女の子はびっくりしていた。
「きみ・・・・・・だ、れ?ここ・・・どこ?」
「わたし、はっ、くれにゃい!ここはじごきゅ!にゃまえは?」
「。じゃ、うち・・・・・・しんだ?」
「ちがう、しゃん、まだいきてう!」転がるのをやめてぱっと立ち上がった。
「う"・・・・・・ど、したら、かえれりゅ?」
「だいじょぶ、あしょこ、めざして。」
紅はの手をぎゅっと握って、明るい場所を指差した。
「ここを、まっすぐ!しゃんはまだここにきちゃめっ!でしゅ。」
「くれにゃいちゃ、は?」
「くれにゃい、ここにすんでりゅ!」
だからここでお別れでしゅ、と言った。はしゅん、と不安気な表情を浮かべた。
「しゃんは、ながいきして。きっと、またあえりゅよ。」
心を見透かされたとは目を大きく見開いた。
紅は動かないの背中をそっと押してやった。近づく光の眩しさに一瞬、目を瞑った。
意を決したはその場所へ一歩ずつ進んだ。紅は時折、振り向いちゃだめと呟く。
小さな背中が見えなくなり、紅はぽつんと砂利の上に立った。
そこへじゃり、じゃりと小石を踏む音が近づいてきた。
「紅、例の迷い子はどうでした?」
「ちゃんと、げんせにもどった!くれにゃいと、おなじおおきさ!」
「そうでしたか。」
鬼灯は心なしか胸を撫で下ろしていた。
帰りますよと後ろを向くが、追って来る気配がない。
紅はが去っていった場所を寂しそうに見つめていた。
その後ろ姿を見て、鬼灯は思わず口を開いた。
「人の姿になったことを後悔してますか?」
「ちがう、このすがたににゃって、えんまだいおう、はきゅたきゅしゃんたちにあえた!
ほーずきと、いっしょにいられりゅ!」
「・・・・・・そうですか。」
鬼灯は紅をここに行かせたのは間違いだったのではないかと頭に過った。
紅が人間になって間もなく、同い年の友達もいない。
そんな鬼灯を察したのか、紅は終始笑顔を浮かべた。
鬼灯は今まで抱いたことのない何かを胸の奥にしまい、
金魚草とは違う小さな人の手を握ってその場を後にした。
***
静かな住宅街の中にあるセキュリティ対策万全の大きな社宅。
マンションと思える個室で二人はテーブルの上に並べたお菓子をつまんでいた。
「これすごく美味しい!」
「ほーずきが選んだ和菓子屋さんですからね!」
紅は得意げに胸を張った。
淹れてくれたお茶をすすり、今度は洋菓子へ手を伸ばす。
まったりとした空間でふと紅が呟いた。
「さんは婆娑羅大学に進学するんですか?」
「うん、まだ何になろうか決めてないんだけど半兵衛たちが推しているのもあるから。」
「いい大学ですから、きっとさんならやっていけますよ。」
紅は現世の調査でその大学に潜入したことがあり、
生徒ではないとバレないかひやひやしていたのを思い出す。
お菓子で汚れないように置かれた参考書は開きっぱなしのままである。
「地獄で会った時は同じくらいだったのに抜かれちゃったなー。」
「ふふ、すぐに追いつけますよ。」
「ううん、背のことじゃなくてね。」
「何ですか?」紅はを見た。
しかし、はすぐに頭を振って「何でもない。」と答えた。
***
すっかり日が暮れて社宅に戻る社員が少しずつ増えていく中、
明らかに豊臣会社ではないサラリーマンがいた。
その彼を案内する豊臣副社長の姿もあった。
部屋に入ると毛布も引かず、すやすやと眠る紅とが目に入った。
「おやおや、毛布も引かずに・・・・・・風邪引きますよ。」
「久しぶりに会えたからね。たくさん話し込んだんだろう。」
竹中半兵衛は押入れから引っ張って来た毛布を二人の肩にかけた。
「時間というのは長いようで短い。君と紅ちゃんには世話になってばかりだよ。」
「とんでもない、豊臣さんのおかげで今でも仕事が捗っていますから。
それに、紅と仲良くしてくれるさんには感謝しているんです。」
「それは僕も同じさ、鬼灯君。
紅ちゃんがいなかったら恐らく、今のようにはならなかったかもしれない。」
「・・・・・・お互い子頭悩ですね。」
「だね。」
それは時代を超え、転生された今でも交流するちょっと不思議な友情のお話。
***
#ふぁぼしてくれた人のお子さんとうちの子で小話書く