DIOが放つ刺客の奇襲に備え、あらゆる場面でも対応できるよう戦闘訓練をやることにした。
純怜はから距離をとりつつ、いかにして攻撃を与えるか考えた。
相手は音を拾い、それを覚えたりビデオテープのように再生できる。
しかもスタンド使いにして、ジョセフ・ジョースターと並ぶ波紋戦士。
純怜からすれば戦闘の幅が広くて羨ましい思いである。
が懐から何かを取り出そうとする仕草を見つけ、純怜はすかさず二匹のウサギを出現させた。
次の瞬間、の姿が消えた。
「『後ろ』『がら空きだぜ』」
共に旅している仲間たちの聞き慣れた声が続いて聞こえた。
条件反射で振り向き、クロスさせた両腕で重い蹴り技を受け止めた。
だが相手はそれだけでは留まらず、スタンド像を出現させ、新たな攻撃を仕掛けて来た。
純怜はにやりと笑った。
のスタンド『ピーター』の拳が残りのウサギによって作られた入口の輪を通り、
先程立っていた場所の出口の輪からその拳がにゅっと出現した。
空を切って行き場のない手がなんともシュールである。
「いちち・・・さってと、今日はここまで。そろそろ昼飯をとらなきゃな。」
「『わかった』『すまない純怜』」
そう言いながら傷がついた純怜の腕を波紋で癒した。
「いいっていいって!訓練なんだから多少の怪我はなんぼだぜ?
それに手加減したら組手の意味がなくなっちまうだろ?」
「『それもそうだが・・・』『さっきの技』『一杯食わされたな』」
お互い笑みを交わし、服についたほこりを払って今回泊まるホテルを目指した。
昼時であって、街中は人だかりが多く賑わっていた。
はぐれないよう何回か後ろにいるを確認しながら前を進んでいると、ふと目に引くものを見つけた。
「(あ・・・あれ可愛いな)」
たくさんの商品が陳列する中にぽつんとテーブルの上に座るウサギのぬいぐるみ。
買ってしまおうか・・・でも連れがいるから無理だな・・・。
人混みから抜け出し、ホテルが見えてきたと悟った同時にの姿がないことに気付く。
やべ、さっきのとこではぐれたか・・・?
心配する矢先、その本人が茶色の包みを抱えて目の前からやって来た。
「なんだよ、はぐれたかと思ったぜ。」
「『ごめんね』『どうしても買いたいものがあって』」
だったら一言よこしてくれればいいのに、と苦笑を浮かべた。
すると何故か、その茶色包みを純怜に渡した。どういうことだとを見た。
開けてみてとジェスチャーし、純怜はクエスチョンマークを浮かべながらも包みの中身を取り出し、
それを見てまたもや驚かせた。
「ちょっ・・・さん、これって・・・・・・。」
「『ずっとそれを見ていたから』『欲しがっていたんじゃないかと思ってね』」
「『思い違いだったらごめんね』」は寂しそうな笑みを浮かべた。
純怜はウサギのぬいぐるみを震わせながら抱きしめ、首を何度も横に振った。
「あんた、結構よく見てるんだな」
それからホテル内で「あいつ、やけに機嫌いいな。」とポルナレフが言う純怜のクールな表情には、
鼻歌でもするんじゃないかと思うくらいの表情だったという。
***
#ふぁぼしてくれた人のお子さんとうちの子で小話書く