空条家に居候し始めて何日か経った後、
シーザーを始め、ジョセフとその友人であるアヴドゥルさんがやって来た。
悪霊が何やらと言っていたが、当の本人に何かしら影響はないようだ。
しかし、ほぼ一日留置場にいた紫苑は体調を崩していた。
気を気を紛らわせたいという様子で家事を手伝おうとする紫苑を私はすかさず止めた。



≪紫苑。まだ良くなってないんだから寝てないと。≫

「でも・・・・・・私だけ何もしない訳には―――」

≪―――何か悩み事でもあるの?≫



帰って来たから終始思いつめた表情だったので、私は心配だった。
一人で無理しているんじゃないかと。
ほんの間が空いたが、紫苑は顔を横に振って「大丈夫。ありがとう。」と言った。
個人的にまだ納得がいかないが、紫苑が言うのなら頷かない訳にはいかない。



「そういえば・・・・・・はツェペリさんとも知り合いなのね。」



紫苑が突然、そう口を開いた。
ツェペリさん―――シーザーのことか。
(ツェペリさんと聞くと、どうしても自分の師を思い浮かんでしまう)



≪ジョセフと同じ修業した身で、一緒に戦った友人なんだ。≫

「そうなんだ。私、ジョセフさんから話を聞いただけだから・・・・・・。」



確か、紫苑は小さい頃に一度だけジョセフと会ったと言ってたっけ。
もしかして、シーザーに対して緊張しているのかな?



≪シーザーとはもうお話とかしたの?≫

「ううん、挨拶程度だけ。」

≪いつ帰るか分からないし―――この機会にお喋りしよう!≫

「ええ!?で、でも私初めてだから・・・・・・!」

≪大丈夫。一緒に行くから。ね?≫



一瞬、戸惑う紫苑がとても可愛らしいと思った私は、間違ってはいない、はず。
あまり異性と話したことがないみたいだし、そうリアクションするのは当然か。
以前まで男子に声かけるだけでも躊躇していた自分が懐かしい・・・・・・。



「やあ、、紫苑ちゃん。何か用かい?」

≪一緒にお喋りしながらお茶しようかと思って。今、大丈夫?≫

「今ちょうど手が空いたところさ。」

「わ、私もご一緒してもいいですか・・・・・・?」

≪どうして?紫苑も一緒じゃないと寂しいよ。≫

「ふふ、もちろんだよシニョリーナ。」



ああ、そういえばイタリア人だってこと忘れてた。
(いや、本気で忘れてた訳じゃないんだけど・・・・・・)
免疫もない紫苑の顔が、徐々に赤くなっていった。
あれ・・・・・・もしかして私、間違った行動しちゃったか?



「ご、ごめん・・・・・・。」

≪こちらこそゴメンね!何か無理に付き合わせて。≫

「ううん、初めはビックリしちゃったけど、
 一度はシーザーさんってどんな人か会ってみたかったし。」

≪それはよかった。あんな感じだけど根はとてもいい人だから。≫

「・・・・・・本当に仲がいいのね、二人って。」

≪自慢の友人の一人だからね。≫



そう伝えると、「友達、かあ・・・・・・。」と呟いてそれ以上は訊かれることはなかった。

***
思った以上に絡むことができませんでした。
すみません・・・・・・!!