*海月さん宅のパラドスくんお借りました
月が綺麗な夜。
パラドスは竪琴を弾きながら子守歌を口遊む。
隣に座っていたエネドラの口からは荒い呼吸ではなく、安定した寝息に変わっていた。
そこへ新たな来客が現れた。その人物もパラドスがよく知る青年である。
「よっ!ここにいたのか。」
「さん、任務か何かでしょうか?」
「いいや、二人の姿が見当たらなかったからちょっと捜してたんだよ。」
隣いい?と聞くに、パラドスは寝息を立てるエネドラを一見してから頷いた。
は短く礼を言うと、空いているパラドスの隣に腰を下ろした。
「エネドラが迷惑かけちゃったかな?」
「いいえ、そんなことないです。」
エネドラは絶妙な傾きでパラドスの裾を未だに握りしめている。
そういえば、エネドラが寝る姿を見るのはこれが初めてかもしれない。
「こういう時だけ、まともな顔してるんですね・・・・・・。」
「あはは、顔が怖いのはもう癖みたいになっちゃってるからなあ。」
「でも、元からそういう子じゃないんだよ。」とは言った。
ハイレイン隊に入って間もないパラドスはエネドラに対してあまりいい印象がない。
勘違いされやすいんだと何度もフォローしてくれるが、
毎日罵倒されながらもニコニコしているもどうなんだと思う。
スースーと穏やかな眠り顔のエネドラをもう一度見た。
「この頃、エネドラの呼吸が安定していないのが気になってたから安心したよ。」
思わずえっ、となった顔でを見た。
先程、エネドラが苦しそうに頭を抱えていたのを思い出し、それを伝えようか迷った。
それを見通していたのか、は大丈夫、とパラドスの頭を撫でた。
「エネドラを助ける方法は必ずある。見つけるまでかなり時間がかかるかもしれない・・・・・・。
それまではエネドラのこと、頼んでもいいか?」
「・・・・・・はい。」
まるで、自分がいなくなることを前提とした物言いだった。
けれど自分と同じように戦争を嫌う同士として、
弟のように可愛がってくれる彼の言葉を無視にはできなかった。
そして何よりも、あのエネドラが自分に弱さを見せたのが一番の理由でもあった。
もう、大切な人を失うのは嫌なんだ。
***
#ふぁぼしてくれた人のお子さんとうちの子で小話書く