突然馬車が停止して外を出ると、二つ結びにしている小柄な少女がいた。
リサーナ・ウイングという彼女はツェペリを『師範』と慕う―――
つまり、ジョナサンとの姉弟子に当たる。
自分より八つ年上だと知った時はかなり驚いた。
背が低いこと、幼く見られることを気にしているリサーナは
チビと連発発言するスピードワゴンと口論していた。
それが業者を気絶させた理由でもあった。
もしかしたら私もうっかり口に出していたかもしれない・・・・・・。
この時ばかり、自分の声が出ないことに安堵した。
「―――で、あんたが師範の言ってた東洋人?」
安心しきっていたところで声をかけられ、我に返った。
トゲのある口調はに対しても変わらずである。
≪はい、といいます。ファーストネームが『』です。≫
どうぞ宜しくの意味も含めて深々とお辞儀した。
リサーナは何かを見据えているかのように目を細めた。
「その年で波紋を学びたい理由は聞かないけど、足手まといと分かったらすぐ見捨てるわよ。」
あまり歓迎されない言葉でツンと返された。
彼女は何故そこまで冷たくつけ放すのか・・・・・・トンネルの中、
切り裂きジャックとの戦いでその意味を、思い知らされた。
リサーナは道具を利用して波紋を巧みに使っていた。
無駄な動きがなく、表情にも余裕があった。
長年経験を積み重ねてきたリサーナとの差は歴然である。
「(ただ修業しているだけじゃ駄目なんだ・・・!)」
ジャックを倒したジョナサンが無事に戻り、
トンネルを抜けてもスピードワゴンと口喧嘩していたはずのリサーナが
何か言いたげな表情でこちらを見ていた。
「さっきからずーっと視線が痛いんだけど・・・あたしに何か言いたいことあるんでしょ?」
あ、気付いてたんだ。
そうと分かった同時に申し訳ない気持ちになる。
≪私に戦い方を教えて下さい。≫
すると、リサーナは怪訝な表情を浮かべた。
「教わるならあたしより適格な人がいるでしょ。」
≪ツェペリさんは多分、私よりも彼を優先したいと思ってるはずです。≫
は村の様子を伺うジョナサンをチラリと見た。
≪見ての通り私は女ですし、足手まといにはなりたくないです。
皆を守りたいのはもちろん、ディオを止めたい!それにジョナサンに帰ってくれと言われたくないから。≫
互いにじっと見つめたまま動かない。
最初に視線を外したのはリサーナだった。
「まったく・・・・・・坊ちゃんといい、あんた達マジメすぎるのよ。」
そう言って溜息ついたが、嫌々な雰囲気はなかった。
「言っとくけど、女だからといって優しくしないわよ。
戦いの中で、自分に合うやり方を身につけなさい。」
≪―――はい!宜しくお願いします。≫
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