目を開けると見覚えのある天井が映る。一つ違うのはハロウィンの飾りがあること。
周りを見渡すと、あの可愛らしい少女がハロウィン衣装で迎えてくれた。
「ちゃん!また会えてうれしいよ!」
≪―――ジョアンちゃん?≫
「うん!」
嬉しそうに微笑む彼女の後ろから声を聞きつけたジョナサンに、なんとジョセフまで出て来た。
・・・こういうパターンは説明しなくても察しがつく。
「でもさ、二度もおれ達の家の前に倒れるなんてそうそうないだろ?
アンタ、何かしでかしたんじゃねえの〜?」
「こらジョセフ。君とは違うんだからそう言うんじゃない。」
「それどういう意味だよ兄貴!」
「そうだよジョセフ兄。ちゃんに失礼だよ。」
「ジョ・・・ジョアンまで!二人して冷たいッ!」
どうやらここのジョセフもイジられるキャラのようだ。
何故彼はこう不憫な存在なんだろうか。
「あ、そうだちゃん!」
「?」
「Trick or Treat!」
・・・嗚呼そうか。今日はハロウィンか。(この家の中を見て明らかにそうなんだろうけど)
自分のポケットの中を探ると、ちょうど作り余っていたマフィンがここにいる人数分入っていた。
≪はい、どうぞ。歪な形でごめんね。≫
「わあ・・・!ありがとう!」
「ぼくにもくれるのかい・・・?」
≪もちろん。―――よければジョセフさんにも渡して下さい。≫
「私が渡すよ!」
『さん』付けなんて今じゃ考えられないが、私の知っている彼じゃないのでそう言わせてもらった。
(馴れ馴れしいって思われたくないし・・・)
二つのマフィンを抱えたジョアンは早速ジョセフの所に駆け寄った。
「さっきはごめんねジョセフ兄。ちゃんからもらったお菓子・・・もらってくれる?」
体育座りで項垂れるジョセフを上目遣い(本人は自覚なし)で見た。
するとさっきまでの落ち込みはどこへ行ったのか、パアッと顔を輝かせてジョアンを抱きしめた。
「サンキュージョアン!やっぱりジョアンは最高の妹だぜーッ!!」
「私もだよジョセフ兄!」と抱えられたまま、くるくると回るジョアン。
あいつ、絶対あのマフィンが私のだって思ってないだろうな・・・。
「そう怖い顔しないであげて。ジョセフもジョアンが大好きだから。」
≪・・・わかってるよ。≫
ジョセフもそうだけど、ジョアンも嬉しそうな顔してるしね。
とても悪態つける空気じゃないな。
「ちゃん!せっかく来たんだからちゃんも仮装しよう!」
「(えっ!?)」
「これからテレンスの所へ行こう!きっと可愛い衣装を作ってくれると思うし!」
「ふふ、気をつけてねジョアン、。」
どうやら自分が仮装するのは決定したらしい。案内してくれるジョアンには悪いのだが・・・
「(そもそもテレンスって誰!?)」
未来の家族との邂逅、かも
(ひ、酷い目に遭った・・・)
(ちゃん大丈夫?)
(とりあえず・・・私も『Trick or Treat』と言わせてもらおう)
おまけという名のもしも話↓
気がつくとジョアン達の住むジョースター家の中にいた。
嗚呼・・・また家の前で倒れてたっていうオチかな。
なんて思っていると、ふいに頭を撫でられている感覚に気付いて意識を浮上させた。
私の視界にはジョナサン―――ではなく、全く見覚えのない(はず)男性がいた。
「あ、気がついた?」
「具合はどう?平気?」と首を傾げながら訊いて来た彼の言葉に、ゆっくり頷いた。
「はじめまして、俺は丞華。ジョアンの兄です。君がちゃん・・・だよね?話は聞いてるよ。
まさかジョアンが言ってたことが本当にそうなるとは思ってなかったよ。」
嗚呼っ―――やっぱり同じことをしてんだぁあああ!!!恥ずかしいッ・・・!!
≪家族共々ご迷惑かけて本当にすみません・・・。≫
「そんな恐縮にならなくていいよ〜。まあ、でも・・・」
そう言うなり、何故か私の手を取って―――
「ジョアンの言う友達に会えたから俺はいいんだけどね。」
クスリと笑む丞華さんに私は思わず目を点にした。
(ジョナサン似であること以前に整った顔なので尚更ドキッと来る)
≪こちらこそジョアンのお兄さんに会えて嬉しいです。≫
「またまた〜。そんなこと言うと―――本気になっちゃうじゃないか・・・・・・。」
それは一体何の『本気』だ?と疑問に思う中、
向こうからドアが開かれる音と聞き覚えのある『足音』がした。
噂のジョアンと―――共に買い物したであろうジョナサンが袋を抱えてリビングに入る。
「ああっ!丞華兄がちゃんをナンパしてる―――!!」
「(えっ!?ナンパされてたのか私!?)」
「・・・丞華・・・。」
「あ、あの〜ジョナ兄さん?俺はただこの子が倒れてたから介抱しただけだよ?
俺はいつだってジョナ兄一筋―――」
「ジョアン、と別の部屋で待っててくれる?」
「うん、いいよー。」
「行こうちゃん!」と腕を引っ張って半強制的にリビングを後にした。
ジョアンとたくさん遊べたからいいのだけど、後で戻るのが怖いな・・・。
(女の子扱いしてくれた男性がシーザー以外にもいたんだ・・・)
(うーん・・・やっぱり連絡先くらい聞いておけば・・・)
(丞華?)
(ごめんなさいジョナ兄それ以上波紋流さないで)
***
先に謝らせて下さい。すみませんでしたッ!!!
素敵なハロウィン小説のお礼も兼ねて宣告通り書かせてもらったのですが、
家族パロよりも先に以前送った共演小説の続編もどきの話が膨らんでしまったので・・・!←
ジョアン嬢は皆の嫁でいいと思います。(真顔
丞華くんとの共演もどうしても書きたくて、
『もしも先に丞華くんと出会ったら・・・』という妄想をおまけという形で載せてもらいました。
ニセモノすぎて本当に申し訳ないです。丞華くんの代わりに波紋食らって来ます。←
「こんな違う!!」というのがありましたら何なりと申して下さい!
また共演書かせて下さい。←