*3部後、同棲捏造
*丞華君視点
*夢主x夢主になってるので苦手な方は注意!!
空条家の朝はいつも穏やかで賑やかだ。
でも実家より住民が少ないからちょっと寂しいけど・・・おっと、噂をすればご本人の登場だ。
「おはよう、ちゃん。今日も相変わらず可愛いね。」
「『はいはい』『おはよう、丞華君』」
普段よりも3本立ってる癖っ毛がいい具合にはねているちゃんはまだ寝むそうだ。
本当のこと言ってるだけなのに、相変わらず素っ気ない。
でも決して嫌な顔しないのがあの子の良い所なんだよなあ・・・。
「あ。ちゃん、今日さ―――」
「『丞華君』『私これから東京支部のSPW財団に用があるから、夕食は先に食べていいよ』」
「えっ!?あ、そ、そう・・・・・・なんだ・・・。」
先に言っておくが、ここは空条家といっても庭付き一戸建てとは程遠いマンションの一室だ。
DIOとの旅から帰還後、俺はちゃんと同棲したいと家族に打ち明けた。
母さんとスージーおばあちゃんは大いに喜んでくれたけど、何故か承太郎は無言で睨み、
ジョセフおじいちゃんに至っては、シーザーさんにどう説明するべきかと一人で悩んでいた。
本来なら、このまま空条家か、SPW財団のどちらかに留まるかの話だった。
けれど、あの旅でお互いの気持ちを知った時、実家で共に暮らす事以上のものを望むようになった。
それはちゃんも同様だ。
「『私は―――』『丞華君と一緒にいたい・・・』」
とてもシンプルだけど、あの言葉がなかったら俺は自分の本音を明かさなかっただろう・・・。
当時、まだ18歳(実は既に誕生日を迎えていたらしい)だったちゃんのこともあって、
19歳になったら同棲を許す、とのことだ。
そして同棲して2年目の春―――今日、俺の誕生日であるわけなのだが・・・・・・。
「(うーん、以前まで朝にはちゃんと『誕生日おめでとう!』って、
『今日は予定空けておいたから』って言ってくれたんだけど・・・・・・)」
もしや、俺の誕生日を忘れて・・・?いやいや!ちゃんはそんな子じゃないし!
・・・・・・そう思いたい・・・・・・。
「そういえば・・・・・・一人でご飯食うの、いつぶりだっけ・・・・・・。」
どんなに忙しくなっても、帰りが遅くても、ちゃんは俺の分も作って待っててくれた。
それもあってか、他の女の子に声かけたり、寄り道することも減った。
嗚呼、こんなにも1日の時間が長いなんて・・・!!以前までの俺では考えられないことだ。
≪すみません。うちの連れがご迷惑をおかけして―――≫
≪丞華君、顔色悪いけど大丈夫?≫
「『私が君の側にいるよ』『・・・・・・迷惑かな?』」
俺の精神に憑依していたジョナサンが、DIOを倒した同時にこの世から消えてしまった。
いつも側にいてくれた唯一の存在を失った時、俺は初めて気付いたんだ―――。
「ちゃんのバカ・・・。早く帰って来てよ・・・・・・。」
「『・・・・・・悪かったなバカで』」
「―――うぇッ!?」
拗ねてテーブルの上にうつ伏せていた途端、返って来るはずのない返事に思わず変な声を漏らした。
スタンド能力で記憶された『声』であるが、目の前にいるのは間違いなく彼女だ!
あれ?でも、帰り遅くなるって・・・・・・?
「『ごめん。』『今朝言ってたことウソ』『実はこれを作ってて・・・・・・』」
「えっ・・・これって・・・!」
純白のふわふわな生クリームとたくさんのイチゴが乗っているショートケーキ。
ご丁寧にも、『Happy Birthday 丞華』とチョコレート文字で描かれている―――って、
「誕生日ッ!!お、覚えてたの・・・!?」
「『当たり前でしょ』『本当に丞華君にはいつも感謝してるからね』」
そう微笑んでくれるちゃんを見て、さっきまで暗く沈んでいた自分がすごく情けない。
じんわりと瞳の奥が熱くなる。エイプリルフールといい、何で俺ばっかり・・・!
「ううっ・・・卑怯だぁあああああ!」
「『はっ!?』『何で!?』」
「だって・・・ちゃんばっかり俺を驚かせて・・・・・・!今度こそ嫌われたと思ってたんだからァ!」
「『あ・・・』『それは・・・・・・ごめんね』」
「やだ!今回ばかりは許せないよ!」
怒ったフリをしてツンと顔を背けた。
一回チラッと盗見すると、言葉を詰まらせたように罪悪感の色を浮かべる表情だった。
「『本当にごめん、丞華君』『君を・・・思いっきり喜ばせたくて・・・』」
・・・・・・そろそろ、いいかな。
「・・・本当に?許してほしい?」
「『うん』『どうしたらいい?』」
いつもクールなちゃんとは思えない子犬のように悲願する目に、内心ほくそ笑んだ。
「君の時間を―――全部、俺にちょうだい?」
完璧に決めたのをよそに、当の本人はきょとんとしていた。あれ?
「『えっと・・・・・・』『それは、どういう・・・』」
しまったァ!この子、かなり鈍感だったァアアアッ!
「あ、あのね?ざっくり言うと、『俺と結婚して』という意味で・・・。」
「『ごめん、無理』」
「即答ッ!?」
「『―――なんて言うのはウソ』」
「え、え、えっ?どっ、どどどどっちなんだよ!?結婚したいの?したくないの!?」
俺、かなり恥ずかしいこと口走ってるなあと変に関心していると、
突然頬に柔らかい感触、が―――。
「『時間やるからには有効に使ってね』」
男みたいにフッと笑むちゃんを凝視して、ようやく頬にキスされたことを理解した。
当然、彼女からしてくる事なんて滅多にないッ!
「ちょっ・・・う、嬉しいけど何でほっぺなの!?どうせなら―――あ!」
「『何?』」
「ふふ〜ん?もしかしてもしかしなく・て・も♪これは期待してあだッ!」
「『バカ』」
けれど、これだけでは治まらず、嬉しさの余り『僕達、結婚します!』と
書かれた招待状を書いて送った俺に、「『気が早すぎる』」とちゃんにツッコミを入れられ、
その1週間後に何故か大量のシャボン玉用品の入った段ボールが何箱も届くことになるのは
暫くしてからのことである―――。
最高の祝い方
***
以前、悠月さんと共演から同棲ネタでいつかやりたい!と話をして、
今回丞華君の誕生日祝いも兼ねて書かせて貰いました!
遅くなった上、こんな無理やりな形でごめんね・・・!!
丞華君が嫌な性格の男性になってしまった・・・申し訳ないッ!
18歳だから、とかそんな件があるけど実際どうであるかは、なるべくツッコミはなしで・・・!←
悠月さんのみ、お持ち帰り可能です。丞華君、誕生日おめでとう!!