暗雲だけが空を覆いつくし、夜になっても星さえ見せてくれない。 このような悪い(?)天気は、そう珍しくはない。 しかし、今回ばかりこの暗雲の空は少し変わっていた。 暗雲が発生すると、丸1日過ぎないと黒い雲は消えない。 ゴロゴロと雷が唸るが、決して無数の地に落ちることはない。 あるとしても決して(・・・)、人や建物を襲うことはない(・・)。 暗いだけの曇り空だが、ある(・・)時間に近づくと、その空は徐々に赤い色に染まっていく。 それは『夕方』じゃなくても起こるらしい。 その赤く染まった曇り空は、盛大に音を轟かせ、大きな『赤い雷』を光らせた。 まるで、ドラゴンの咆哮のように―――。 その音が止むと、密集していた暗雲が風に吹かれていきながら過ぎ去り、 またいつもの空を展開した。 今回、この『現象』が起きたのは、これで二度目(・・・)である。 人々が安堵を漏らす中、ある一部の家庭に、元気な産声が上がった―――。 レッド・ライジングの帰還