「リーマス!ホグワーツから手紙だよ!私、本当に魔法使いなんだね!」 「ああ、そうだね。おめでとう、。」 ポストに入っていた黄色味がかかった封筒と、 その中に入っていた手紙を、育て親であるリーマスに見せると 髪をくしゃくしゃに撫でられた。 かなりくせっ毛がついたけど、どうせ後で直すから、いいや。 「魔法使いなら当然『杖』が必要だよね!」 「いや、『杖』の他に揃えなくちゃいけないものがたくさんあるぞ。  魔法薬調合や歴史について学ばなくちゃいけない。」 「あ、そっか・・・・・・。  魔法学校って日本の学校とそんな変わらないね。」 「教える内容が違うけどね。」 「買い物に行こうか。」の言葉に、 私は急いで身支度の用意を済ませた。 以前から魔法使いのいる町を見たかった私は今 かなりウキウキだ。 時間短縮しようと、一瞬にして玄関の外に出た。 目の前には既にリーマスが待っていて、 ドアを開けずに(・・・・・・・)現れた私を見るなり、 リーマスは私の頬を軽く抓った。地味に痛い。 「・・・・・・何度言ったら分かるんだ?  外出先では『忍術』禁止!ドアの外でも、だ!」 「ご、ごめんなさい・・・・・・。」 「・・・君が早く町を見たいという気持ちはわかるけどね、  『魔法使い』はもちろん―――  『忍者』がいるってことは秘密なんだからね?」 人間―――マグルの者達には、ね。 そう強く発したリーマスの言葉を聞いて、流石に反省した。 ここ、イギリスに移り住む前、 私は実の父親と故郷である日本で暮らしていた。 父さんが数少ない『忍』の生き残りであった為、 自然に親から『忍術』を身に付けていた。 そんな時、自分が魔法使いである可能性があると言われ、 父が依頼した人物の元でしばらく暮らすよう、故郷を離れて、ほぼ五年経つ。 父が依頼したその人物こそ、リーマスだ。 小さい頃からずっと魔法にあこがれていた私にとって、 父さんと遠く離れて暮らすことは苦にならなかった。 「ここが、ダイアゴン横丁だよ。」 「わあ・・・!」 薄汚れたパブを通り抜け、壁に囲まれた小さな中庭から一変、 壁の向こうには、いろんなお店が並んでいて、 どれも目を引くものばかりだ。 四方八方キョロキョロしながら横丁を歩く私を苦笑しながら、 リーマスが腕を引っ張って誘導した。 結局、いろんな所に目線を移動していて私をよそに、 ほとんど彼がリストに載っている必要なものを揃えてくれた。 「ちょっと休憩しようか。何がいい?」 「美味しいものなら何でも!」 「―――だね、少しそこで待っててくれ。」 リーマスが人ごみに紛れて去っていくと、既に先が見えなくなっていた。 何か面白いの、ないかな? ジュースを片手に視線を動かしていると、 人の何倍もある大男がふくろうが入っている鳥籠を持ってオリバンダーの店の窓を覗いていた。 大男の風貌故、かなり目立っている。 「ハリー!誕生日おめでとう!」 『ハリー』という名前(だと思う)を聞いて、ひどく動揺した。 どこかで聞いたことあるような・・・・・・いつだっけ? 「ん?おっ・・・おまえさん、まさか、か!?」 「えっ・・・・・・何で私の名前、知ってるの!?」 「やっぱりな!おまえさんが世話になってるルーピンの古い知人だ。」 「えっ!リーマスの!?」 「おお。ルビウス・ハグリッドだ。よろしくな!」 『ハグリッド』―――・・・彼も聞いたことあるような名前だ。 思い出せそうで思い出せない。どうしてだ? 「ウーム。しかし・・・・・・本当にあいつ(・・・)にそっくりだな。  まるで瓜二つ・・・・・・。」 「ハグリッド?その子は?」 ハグリッドが何か呟いていたけど、 お店の中から『ハリー』らしき男の子が出てきて中断された。 私と同じくらいの年かな? 「この子もホグワーツ入学者だ。」 「私は。あ、が姓だよ。」 「僕はハリー。ハリー・ポッター。」 「よろしくね!初めて来たんだけど、同じ子と会えてよかったよ!」 「僕もなんだ。よかった、みたいな子で・・・・・・。」 突然暗い表情でぼそぼそ呟き始めた。 ここに来る前に何かあったのかな?それにしても・・・似てる・・・・・・。 誰に―――? 「ゆっくり話したいところだが、そろそろ行かなきゃならん。  すまんな。ホグワーツでまた会おうな。」 「またね、。」 「うん!またねハリー、ハグリッド!」 ハグリッドの後を追ってハリーが背を向けた時、 ちょうど額にかかっていた前髪が風に乗って、ふわりと上がった。 一瞬だったけど、肌には痛々しい稲妻型の傷が見えた。 その時、私の中でまさに稲妻が落ちたような感覚を覚えた。 *** 次から夢主の言動が変わってきます。