写真越しでしか知らない自分の両親を、まるで自分のことのように語るルーピン先生。 両親の友人であるから言える話はハリーには嬉しかった。 過去の話を聞いていて、ふと思ったことを訊いてみた。 「ルーピン先生は・・・の身内なんですか?」 「なんで、とは?」 「ただの好奇心です・・・。」 もしかしたら地雷を踏んだかもしれない・・・。 ハリーはしまったと顔を伏せた。 しかし、ルーピン先生の表情はハリーが予想していたものではなかった。 「残念ながらとは血の繋がりがなくてね。 ダンブルドア先生からの依頼で彼女の父親と顔を合わせたのは一度きりだったし。」 「じゃあ、何故・・・。」ハリーが何を言いたいのか、彼には分かっていた。 「話が少しズレるんだが、僕と同学年の女の子がいてね。 とても奇妙なことに、顔や名前だけじゃなく、 動物好きや感情表現が豊かなところがにそっくりだったんだ。 ・・・いや、僕からすればが同級生に似すぎる、が正しいかな。」 「と、同じ・・・。」 「違う点があるとすれば、ファミリーネームと寮くらいかな。 僕が一番適任してると言われたんだが、詳しい理由は知らないんだ。」 「その同級生はどの寮だったんですか?」 「スリザリンだよ。 だからと言って決して誰かを傷つけるようなことなんてしなかったし、友情にだってあつい。 特にリリーとは仲が良くて、ジェームズとはケンカばかり。」 ルーピン先生は苦笑まじりに肩をすくめた。 「仲悪かったんですか?」 「はは、それはないだろう。イタズラをすれば、どちらもやり返すような二人さ。 本当は仲良しなんじゃないかって思うのだけど、頑なに認めないんだよ。」 その光景が今にも目の前に繰り広げられているようで、思わずクスリと笑った。 「その人は今何を?」 「・・・二度と手の届かない場所にいてね、僕にも分からない。」 直接的な言葉ではないが、それをどう意味するのか悟ったハリーはごめんなさいと謝った。 「君が悪いわけじゃない。」 「を見て、いつも後悔ばかり思い出す。 自分の気持ちを伝えていれば、どんなに良かったか・・・・・・ あの子を引き取ったのは、もうそんな思いはしたくない、という理由があるからかもしれない。」 優しい笑顔で印象的な先生の表情が、悲しみで溢れている。 二人の関係とは全く遠い位置にいるハリーは、すぐに言葉をかけることができなかった。 「すまない。暗い話をするつもりじゃあなかったんだ。」 「いえ。もう少し・・・話を聞かせてくれませんか?先生が話したくないなら大丈夫です。」 「・・・僕の話でいいのかい?面白いネタはあまり持ち合わせていないんだけどね。」 「僕は聞いてて楽しいですよ!」 純粋に思ったことを伝えると、ルーピン先生は照れ臭いといった様子で顔の傷を撫でた。 「それは嬉しい限りだ・・・・・・ああ、そうだハリー。 さっきのことはには内緒にしてくれないか? また不貞腐れると宥めるまでが面倒なんでね。」 困ったような声色で言うルーピン先生だが、イタズラをした子供の顔であった。