昼日中でも人気を拒むような不気味な森の中に、大きな屋敷がひっそり建っていた。 外来からやって来るのは親族や魔法省くらいだろう。 何故、外界と接触を断たせたのか、誰も知らない。 そして、この屋敷で家族が仲良く団らんしていることも・・・・・・。 「それでね!ははさまとおおきなねこちゃんとあそんだの!」 「リーシャ、また勝手に魔法動物と・・・・・・。」 「あら、小さい頃から動物と触れ合うのはいいと思うのだけど?  それに貴方に言っても許してくれないだろうから。」 「むっ・・・・・・。」 「ねえ〜〜〜とうさまもあそぼうよ〜〜〜!」 「ほら、この子もそう言ってる。私達が心を開けば動物も応えてくれる。  ね、この機会にどう?」 「むぅ・・・・・・そう、だな。少し考え・・・・・・」 しかし、一匹の黒いカラスが乱入してきたことによって、楽しい時間は中断された。 今までにない事態に、父も母も不安な色に染まった。 「まさか・・・・・・あの方(・・・)から!?」 「あなた・・・・・・。」 「ねえ、カーカーこわい。」 手紙を届け、颯爽と飛び去ったカラスが他のカラスと何かが違うと恐怖を抱いた。 「大丈夫。」リーシャは席を立ってそっと抱きしめた。 流れるように並べられている文字を目で追う父・エリオットが急に立ち上がる。 「リーシャ!」 「今すぐ***を連れて別荘へ!連絡するまで出るな!」 父が怒声を上げるような声で促すと、母は素早く自分の子を抱えて暖炉に飛び込んだ。 ブルーパウダー(煙突飛行粉)を使って「サムバディ・パァス!」と唱えた。 母に抱えられながら熱のない炎に包まれると同時に、目の前の巨大な扉が開かれる。 一瞬、漆黒ローブの奥から覗く赤い瞳と合った気がした。