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あの時代ではまだ聞き慣れない名前であったことは今でも鮮明に覚えている。
「彼女は声が出ない。外に出る分そんな問題はないらしいが、
我々のできる限り支えてやってくれ。」
まだ人間であったわたしを養子と迎え入れたように、
彼女も決して差別することなく、ここに置くとジョージ・ジョ―スターは言った。
ジョナサンはもちろん、使用人達も温かく迎え入れた。
当然、わたしはいい顔をしていなかった。
ジョ―スター家の財産を奪い取れる絶好の時期に限って、とんだ侵略者が入った。
いや、来訪者という方が好ましいな・・・・・・。
何の変哲もない小娘一人に、わたしの計画が狂うはずがない。
そう・・・・・・何の問題はない。
7年間、ジョナサンの『いい友人』として築き上げてきた例がある。
その仮面を被り、彼女もいいように利用すればいい。
ジョナサンが日本語を理解できないのは、当時わたしも同様である。
少しだけ英語に理解があると聞いて、
わたしはの前に近づいて自分の顔に紳士的な笑みを貼りつけた。
「ぼくはディオ・ブランド―だ。よろしく。」
ブランド―の姓を名乗るのは不愉快極まりないが、
正式的にジョ―スター家の息子になれたとはいえ、
ジョ―スターの姓を名乗ることも、同じくらいには、
ひょっとしたらそれ以上に、不愉快だった。
だが、決して表にその感情を出さない。
握手を求めんばかりに手を差し出す。
するとようやく、は戸惑いながらおそるおそると手を伸ばした。
初めて見る顔だから、人見知りになるのは当然だろうとその時は思った。