私は小さい頃からウサギが好きだ。 きっかけは小さな動物園にある『ふれあい広場』でその小動物を抱き上げたのが決定的な瞬間である。 現在(いま)にして言えば、あの長い耳、くりっとした紅い瞳に柔らかい白い体毛に包まれている小さな生物の、 なんとも言えないあの(・・)フォルムがとてもキュートで、私のハートを見事にがっちり掴んだのだ。 けれど月日が経つ毎に動物園へ出向く回数は減り、あれだけ喜(あそ)んでいた大きなウサギのぬいぐる (私が生まれた祝いに母の知人がくれた)は自然にガラス棚の奥で寂しく座っている。 今ではマンガやゲームを始め、特に映画を中心とするホラーものがマイブームとなった。 だがあの日、小学校時代で唯一気の合う友人と出かけていた時のこと。 何気なく入ったアンティークショップでふと、ある懐中時計を見つけた。 どこにでもありそうな品だったが、気付いた時には既に購入して首元にかけていた。 自慢したい訳でもないのに、何故かそれ(・・)を肌身離さずにはいられなかった。 消失のリアリティ