足場の悪い砂利道をSPW財団専用車で走らせ揺られること数時間。
(メッシーナ師範代には悪いがまだ目覚めていないというのもあってそのまま病院にいる)
呼吸をしながら手のひらをグーパーしたり、軽くストレッチしていると、
助手席から「様。」と呼ばれ、前方を振り返った。(むず痒いので様付けはやめてほしい)
「ジョセフ様からお預かりしていたものです。『あの時借りていた時計を返す』と・・・。」
そう言って渡されたのが、ウサギの懐中時計だった。
針は止まったまま模様として刻まれたウサギの目がこちらを見上げる。
「止まっているじゃないか!あいつ・・・・・・。」
≪ううん、前から止まってたんだ。≫
私がそれを伝えると、「だったら何故?」とシーザーは不思議な表情で見た。そりゃそうだろうな。
ジョセフのことだから確認せず勝手に持っていったんだろうとは思うけど、
今に至るまで2人は無事だってことが分かったし、時計にかすり傷一つないのだから十分だ。
冷たい風が頬に当てながら、神秘的な古代遺跡の異様な神殿を目にした。
かなり遠距離のある所だというのに見える。
それは、ディオとの決戦時以上に視力が良くなっている、ということだ。
知っている顔が三つ。よーく耳を澄ますと、どうやらワムウは戦いに敗れたようだ。
ジョセフの今の状態を見て、かなり苦戦したらしい。
「(次に戦うのは先生とカーズ・・・。けれど何なんだ?この胸のざわつきは・・・!?)」
「どうやら一対一で戦っているらしいな。周りには吸血鬼がうろついている。
気を付けろ・・・。」
下手に動けば何をしでかすか分からない。私も同意見である。
リサリサ先生が異常な体の柔らかさにおける華麗な身のこなしでカーズの攻撃を避け、
強烈なキックをお見舞いした。
ジョセフみたく「カッコいい!」と見惚れた同時に安堵を覚えた。
しかし、勝ったと思われた先生の胸に、その剣が貫かれていた。
ジョセフが体を震わせながら叫んだ。
「戦っていたのはカーズじゃねえ―――ッ。影武者だ!!」
カーズの体が崩れていく毎に露わになったのは、成りすましていた吸血鬼だった。
溶けていく影武者さえ目もくれず、冷たく言い放った。
「くだらんなあ〜〜〜。一対一の決闘なんてなあ〜〜〜っ。
このカーズの目的はあくまでも『赤石』!あくまでも『究極生物』になること!!
ワムウのような戦士になるつもりもなければロマンチストでもない・・・・・・。
どんな手をつかおうが・・・・・・・・・・・・・・・最終的に・・・。」
「勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」その雄叫びと共に止めの肘打ちを入れた。
プッツンどころか、私の心境的にはブチンと言った方が正しい。
「JOJO達が危ない!、!おれの側から離れるな―――」
シーザーが途中言葉を止めたの。ごめん、早速約束を破っちゃった・・・・・・。
「『カアアアアァアズ』『きさま―――ッ!!』」
この怒りは・・・・・・自分ではどうしようも出来ない。