その後、傷口が開きかけていた私とリサリサ先生は病院へ。
危険な状態であったが、先生はすぐに一命を取りとめていた。
「、あなたがしたことは最も愚かな行為です。いつ命を落とすか分からないその体を酷使しました。」
「(うっ・・・す、すみません・・・)」
私は今ベッドの上で上半身だけを起こしているリサリサ先生にお説教されていた。
(その後、シーザーもお説教されると暫く経ってから知ることになる)
彼女を前に、私は正座を続ける。こんなことになるのは当然だ。
けれど次に発せられた言葉は意外なものだった。
「しかしあなたがいなかったら誰かが命を落としていたでしょう・・・。」
ジョセフについては一切触れて来なかった。自分の息子が死んだなんて、今でも信じ難い話だ。
目を伏せる彼女に私は無言を貫くしかない。
「それで?あなたのケガはもう大丈夫なのですか?」
私の体を気にかけてくれる言葉にゆっくり頷く。
「宿命だったと言えど、あなたにはたくさんの苦を強いらせました。これからはの自由に生きなさい。」
≪―――もう十分自由にさせて貰いましたよ、エリザベス。≫
先生の本名を入れて伝えると、彼女のブルーアイから涙が溢れていた。
「今でも・・・・・・エリザベスと呼んでくれるのですか?」
もちろん―――私は微笑んで感情任せにお互い抱き合った。
***
久々に一人で外の空気を吸いに出かけてみた。もう少し先生の側にいたかったのだが、
「シーザー達に任せて気分転換しに行きなさい。」と押され、その言葉に甘んじた。
「(と言っても他に行くあてがないしなあ・・・)」
そう思う矢先、自然とリサリサ先生の館に足を運んでいた。
合鍵を使って中に入ったが、スージーQさえいない。
一体何のために来たのだろうと軽くしょぼくれながら船に乗った。
その時、見覚えのある顔を見つけ、思わず立ち上がった。
スージー・・・!!
私の思いが伝わったのか、紙袋を抱えたスージーQは私を見て驚きのあまり、
その袋の中身をぶちまけて駆け寄って来た。
「―――!!いつここへ来たの!?連絡入れてくればいいのに〜!」
ごめんねと心の中で謝りつつ、彼女との再会を喜んだ。
しかしそのハグはわずか数秒で終わった。
「そうだ!こっち来て、早く!」
「(ス、スージー・・・?)」
そう言って私の腕を引っ張って別の道を走った。
たどり着いたのは知らない病院で、一体どういうことなのか理解できなかった。
そんな私をよそに、病室の前でスージーがノックする。
「はいはい、どうぞォ〜。」
このお調子者のような声は・・・・・・まさか―――
「ふふ、この病室に誰がいるのか―――もう分かったよね?」
そう言ってウインクするスージーQ。私は半開きになった口を震えながら押さえる。
心のどこかで、そんな予感は潜んでいた。そう頭では分かっていても、じわりと瞳の奥が熱くなっている。
スージーが開けたドアの先に、ちょっと情けない姿勢でいつつ、
あの憎たらしい顔が私の目の前にある―――。
「よお、!まさかスージーQに続いておまえに会うなんてなー!体はもういいのか?皆は元気か?」
いつもと変わらない態度にホッとしたのも束の間、
≪お前が一番ムチャクチャじゃないか、このスカタン!≫と書いたメモ帳をジョセフに投げつけた。