ジョセフは火山で岩盤ごと押し上げられ、その岩がちょうど保護壁になって運よく海に落下。 その時ヴェネチア漁船に救助され、2週間このヴェネチアでスージーQに介抱してもらったと言う。 ≪大変だったでしょスージー。介抱する相手がコイツだから。≫ 「おいコラ、どういう意味だ!」 「そうね〜。でもたくさんイタズラが出来たからちょっとラッキー、かな?」 「おまえも受け答えすんなスージーQ!」 普段なら追いかけて来るパターンになるのだが、ジョセフはまだまともに歩けない。 それがちょっといい気味!と思ってたりする。 ≪それはそうとジョセフ。ドイツに行くって・・・?≫ 「おう。やっぱり片腕だけじゃ不便だーって思ってよ。」 ドイツに行くってことはシュトロハイムって人に会いに行くのかな。 あの人最後まで彼と戦ったから、再会したらどう反応するんだろう・・・。 「ねえ。もしよかったら付いていってあげて。JOJO一人じゃ何か不安だし〜。」 「おい待て。まるでおれが左右もわからねえガキみてえに言うじゃねえか、おまえ!」 ≪そうだね・・・。見張りがてらに付いてくよ。≫ 「オ―――ノォ―――!おれがケガしてるのを揃いに揃ってェ―――ッ!!」 そんな彼の怒声はすぐに笑いで打ち消されるのであった。 *** 若干足に痺れがあると聞き、座る時以外は私の肩を貸すことにしている。 本人はいい!と素直に応じなかったが念を入れて―――と言うよりほぼ強制的にそう(・・)している。 シュトロハイムに再会した時に至っても、喜びより「本当に兄妹みたいだな。」と呆れるくらいだ。 義手を付けて慣れるには、やはり相当の時間を費やすことになる。 ジョセフが彼らと再会するのは4月になりそうだ。 「そうだ、。」 「(ん?)」 「時計、ありがとよ。何かよくわかんねーけど・・・こいつ(・・・)のおかげで生き延びた気がするぜ。」 ≪・・・そっか。≫ 手元に戻って来たウサギの懐中時計に、不思議と目立ったキズが一つもない。 あの戦いからよく保ったな、と思わず感心した。 「あとコレ(・・)が・・・残ってンだけどよ・・・。」 「どうすればいい?」と出して来たのは赤石だった。すっかりその存在を忘れていた私は一瞬目を見張った。 先生に返せばいいじゃないかと思った時、既に赤石を握られていた。 「おれがずっと持っててもしょうがねえし、が渡してやってくれよ。」 「(結局人任せかよ。・・・でも返すけどね)」 やれやれ、と赤石を仕舞おうとした時、ふと左眼に光(・)が入る。 ≪あのさ、カーズは今宇宙・・・だっけ?≫ 「え?あ、ああ・・・。多分一生戻って来れねえんじゃないのか?」 「それがどうかしたか?」の声に対し、≪なんでもない。≫と首を振った。 左眼が・・・・・・・・・視える(・・・)・・・! カーズはまだ死んではいないが、いくら究極の生物でも真空状態ではどうしようも出来まい。 死のうと思っても死ぬことはできない―――無理だろうと思うが、何人ものの命を奪って来た罪を 償わせるにはいいかもしれない。ウサギ(・・・)もそれに納得して因縁の糸が切れた、という実感を持った。 「、あのさ・・・。」 「(何?)」 「いろいろ・・・ありがとな。何だかんだ言っておまえには助けられてばっかだな。」 ≪・・・どうしたの?らしくないじゃん。≫ ≪それにお礼を言うのは私の方だよ。≫と付け足す。 ジョセフにそう言われるのは嬉しくない訳じゃないが、何かムズかゆい。 ふと彼に視線を戻すと、いつもの顔じゃないジョセフがじっと私を見据えていた。 見たこともない表情に、思わずドキッとした。 ≪ジョセフ?どうしたの?≫ 「・・・・・・・・・。」 ≪もしかして傷・・・まだ痛む?≫ 「・・・・・・・・・。」 ≪ジョセフ?≫ 「・・・おれ・・・・・・・・・がスゲー好きなんだけど。」 一瞬、私の中で時が止まった。