ある日の午後。いつも通りに買い物を済ませ(今日は不良に遭遇することはなかった)空条家に着いたが、 ホリィさんの姿がない。代わりに別(・)の気配がこの家にいる―――。 「(誰だ・・・?泥棒・・・?)」 そうだとしたら尚更この家に守らないと―――。 今承太郎は学校だし・・・・・・ん? 「(この(・・)心臓音は・・・まさか―――)」 「ッ!!」 聞き覚えのある『心臓音』にこの『声』―――私の目の前にいる本人こそ、シーザー・ツェペリだ。 「久しぶりだな!また背が伸びたんじゃないか?調子はどうだ?」 ≪うん、良好だけど―――どうしてここに?≫ 「JOJOの娘さんが実父に連絡するって聞かなかったかい?その時ちょうど不在でね・・・  今でも交流しているSPW財団に通じて伝えてくれたんだ。  こちらの仕事上の関係で早く来れなかったんだがね。」 なんて嬉しいことを言ってくれるんだ、この人はッ! ≪じゃあ・・・ジョセフは?≫ 「ああ。あいつもスージーQも皆元気だ。JOJOは後から君のことを知ったらしい。」 そう言うシーザーも50年近く過ぎたにも関わらず、20代か30代前半にしか見えない若々しさだ。 私がいなくなった後、また波紋の修業に入っていたらしい。 シーザーに会えて嬉しいのだが、肝心のホリィさんはどこにいるのか訊いた。 「ああ、彼女の息子さんが何かやらかしたみたいでね・・・。留置場に行ったよ。」 ・・・何となく想像できるぞ。(あれ、二回目?) 暫くして夜になり、ホリィさんが帰って来た。 本来なら承太郎と一緒に戻って来るはずだと言うホリィさんは信じ難いことを口にした。 「(あく・・・りょう・・・?)」 「・・・承太郎はそう言ったんですか?」 「ええ、あたしには視えたんだけど他の皆には視えていないみたいで・・・。  あの子、あそこから出ないって聞かないの!」 どうしたらいいのか分からないと顔を覆うホリィさんに私はそっと彼女に寄り添った。 私の母さんも・・・こんな風に悲しんでいたな・・・。 「大丈夫ですよホリィさん。あなたのお父さん―――わたしの友人に連絡してあります。  彼なら何とかしてくれるでしょう。」 「ううっ・・・そうだといいのだけど・・・。」 一瞬チラッと私を見たシーザーが気になるけど、その『悪霊』って一体何だろう・・・。 人体とかに影響がなければいいけど―――。 *** ―――う・・・。 「(・・・?)」 ―――ううっ・・・し、い・・・。 「(!!・・・この声は・・・ジョナサン!?)」 ―――ちゃ・・・め・・・だ・・・・・・。 「(何だって?聞こえないよジョナサン。どこにいるの?)」 ―――来ちゃ・・・だめだ、・・・。 *** 「ッ―――ッ!!?」 勢いよく体を起こした時には、既に現実の世界だった。 変な夢は時々見るけど、何か生々しかったような・・・・・・。 「おはよう、―――・・・どうしたんだい?魘されていたのか?」 障子を開けて顔を出したシーザーの言葉に、ようやく自分の肌に大量の汗をかいていたことに気付いた。 ≪うん、大丈夫。心配ないよ。≫ 「お前がそう言うならいいが・・・。、朝食を済ませたらJOJO達を迎えに行こう。」 ≪―――ってことは承太郎は!?≫ 「JOJOが一日早く日本に着いてね。さっき留置場から出たと聞いた。」 ≪起こしてくれれば良かったのに・・・。≫ 「そう言うな。『早くから起こすのは悪いから』とホリィさんに言われたからな。」 うーん、何だろ。腑に落ちない・・・。承太郎もいるんなら別にいいのだけど・・・。