≪シーザー、視える?≫
「あ、ああ・・・。JOJO達以外のを見るのは初めてだ・・・。」
池に飛ばされ敵意をむき出す『男』のそばに現れた物体。
形状は『男』より大分小柄だが、人型に近い。
これが『スタンド』―――・・・。
「逆らう気か!?殺すなとの命令だが・・・・・・容赦せんぞッ!」
「(先に仕掛けて来たのはそっちのくせに・・・)」
「気をつけろ。さっき話した通り、スタンドに触ることができるのはスタンドだけ・・・。
視ることはできても『スタンド使い』ではおれ達にはやや不利だ。」
シーザーが言うには、『波紋』はスタンドという才能に近づくための技術とも取れるらしい。
波紋使いである私達が視認できるのは、その技術があってこそなのだろう。
だが、長年修業して来た彼でさえ、『スタンド』を発現することはなかったと言う。
「(おれが奴の気を引きつける・・・。は隙がついた瞬間を狙うんだ)」
「(わかった)」
アイコンタクトを取り、シーザーは『波紋』入りのシャボン玉を作る。
『男』は「スタンドを倒すにはスタンドの力だというのを忘れたのかァー!」と余裕の態度を取っていた。
「シャボンランチャー!!」
予想通り、『男』はスタンドを使って次々とシャボンを割っていく。
その隙に『蔓の鞭』で『男』の体に巻きつけて一気に波紋を流した。
スタンドの攻撃を警戒していれば、『スタンド使い』の男もただの人間だ。
止めとばかりにシーザーが突っ込んで来るが、奴の口端がゆっくりとつり上がった。
シーザーだめだッ!何か企んでいるッ!
言葉にならない叫びは空しく、シーザーの蹴りが『男』に触れた瞬間、
空気砲で撃たれたかの様に縁側に突っ込んだ。
威力が強かったからか、シーザーの体がピクリともしない。
これがスタンド能力・・・!
「ゲホッ・・・だから無意味だと言っただろうがボケがあ〜!」
ダメージを負いつつ立ち上がる『男』はぺっと血を吐き出す。
急に強くなった訳でもないとすれば―――・・・。
≪"ダメージを蓄積して相手を吹き飛ばす"―――か?≫
「・・・フフ、流石DIO様が気に留めていただけにあるな・・・。」
そんなにあっさりと能力バラしていいのか、と思わず突っ込みを入れる。
能力を発動させる前に再起不能にさせちゃえばいいのだが、一つ気になることがある。
「(最初に飛ばされた時・・・あいつには一本も触れていないし、
それ以前にダメージを受けていたようには見えなかった・・・)」
蓄積した分、吹き飛ばす威力が上がるのであればその時、ケガしてもおかしくないはず・・・。
「何だ?かかって来ないのか?ではこちらからーッ!」
スッ・・・と手をかざしたのを見てすぐ移動した時には、一つの障子が壊されていた。
(怒られるだけじゃ済まないぞ、これ以上は〜!)
この男・・・ダメージを負う以前に『吹き飛ばす』能力を持ってるのか!
「(だからって攻撃しない訳にはいかない―――!)」
『種子弾丸』で攻めるも、文字通り吹き飛ばされてしまう。
ダメージ分が私の『波紋』を上回ってるってことか・・・!
「そんなに動き回っていいのか〜?ジョースターの娘が死ぬことになるぞ!」
そう言って奴の視線はホリィさんに向けられる。
全く戦闘経験のない医師達が彼女の盾になろうと立ち上がる。
『種子』を発芽させて盾を作るべきだが、多分今の力じゃ防ぎれない。
彼らの前に出て、その攻撃を真に受け止めた。
「さんッ!!」
財団の一人が悲痛な思いで声を上げる。
自分の体にツタを巻き付けても、服までボロボロだ。倒れなかっただけで良しとしよう。
でも―――
よりによって・・・!非力な人達を―――ホリィさんを狙いやがった!!
「ほう・・・気絶しなかったか。だがこの様子だと、あと1発か2発で限界と見―――」
「『黙れ』」
この、ふつふつと湧き上がる怒りは・・・この拳を持ってブチのめす―――ッ!
「なっ・・・きっ、貴様まさかっ!『スタンド』を―――!」