小学生の頃、川に流された時に出会った『白いウサギ』―――。
もしかしたらあれは・・・・・『スタンド』として成長する以前の姿だったかもしれない。
物心ついた時に身につけていた『波紋法』のように、守護霊としてずっと側にいてくれた。
私が成長した―――という意味なのかな。
『ピーター』―――
私の側に立っているこの子はそう呼ぶらしい。直接教えられた訳ではないが、そう感じ取れた。
私のもう一つの能力―――その力でホリィさん達を守る!
「スタンドを発現させたからと言って状況は変わらない・・・。
わたしのスタンドに触れようが触れまいが、おまえを吹き飛ばすことは可―――」
「『喋るなと言ったはずだぞ』」
ちなみにこれは(先程の『声』も含めて)私の声ではない。
一体どこで『記録』したのか分からないが、
『音』と認識したものを『再生』するのが『ピーター』の能力のようだ。
「『お前に聞くことが山ほどあるが・・・』『もういい』」
「なっ・・・!?」
最初に吹き飛ばされた時と、さっき受けた衝撃ほぼ同じであることに気づいた。
私の予想だが、どんなに『吹き飛ばす』力が高くても、対象の相手の距離間に応じて半減するらしい。
後は障害物にぶつかりさえしなければ、大きなダメージを負うことはない。(・・・はず)
「『汚いマネした貴様に一発だけじゃあ・・・』『気が済まないッ!!』」
「くっ・・・こ、攻撃しろッ!」
ピーターに向かって発射して来たが、その程度の威力の塊は避けられる。
ピーターを『男』に向かわせ、身を守ろうと前に出た『男』のスタンドの顔面にピーターの拳が近づく。
「わっ・・・わたしに触れればただじゃ済まなくなるぞッ!?」
「『だったら何だと言うんだ?』」
戦いに『傷』は付きものだ。
そんなの、とっくの前から『覚悟』してる―――。
「『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーッ!!』」
承太郎が不良達をボコボコにした際に出ていたこの雄叫びを何度もリピートしながら、
相手のスタンドと『男』共々『突きの連打』を繰り出した。(もう何回殴ったか覚えちゃいない)
「ほげえ―――ッ!!」
『男』が空条家から飛び出して、遠い空に向かって吹き飛んだ。
そして同時に私への『能力』が発動する寸前、震えながら目を覚ましたシーザーに向かって強く言い放つ。
「『シーザーごめん!』『―――後のことは頼むッ!!』」
「!!・・・ッ―――」
シーザーが目を見開いて何かを言おうとしていたが、既に私は空条家にいなかった。
『男』とは別方向へ吹き飛び、後方からジェットコースターのような気分でいた。(あれ、伝わるかな)
「(うーん・・・いつになったら止まるのかな・・・・・・)」
一瞬チラッと下を見たら、青く澄んだ海面だった。
まさか国境を越えたんじゃないかと不安が過ぎる。すると、体が徐々に下降していく。
それにつれてスピードも増す。
「(おいおい・・・もしかしたら防御しなきゃマズイんじゃ・・・!?)」
下から人の声を『拾った』のを機に、素早く『蔓の鎧』を装着した。
後は祈るだけ―――プギュッ
「(・・・"プギュッ"?)」
完全に停止した自分の体に、おそるおそる目を開く。
目の前にはジョセフ達と―――得体の知れない縦長の髪があった。