*原作終了後の数年後
*映画『神と神』経緯あり
ウーブと長い修業を経て、悟空は再び皆の所へ戻って来た。
何年経っているにも関わらず、仲間達の顔に寂しいという色はなかった。
たくさんの料理を平らげ、あとは他愛な会話をしたり、手合わせもしたり・・・・・・
ただ、一つだけ心残りがあった。
数年前にやって来た。
僅か数か月の間だった師弟の修業は、彼女が自分の星へ帰還したことで終止符を打たれた。
今の彼女もあの時よりも更に強くなっているに違いない。
そう思うと体がうずうずして我慢できなかった。
「もっかい戦いてぇなあ・・・・・・。」
「では、早速手合わせしますか?」
「へっ?」
聞き覚えある声がした。声がしたのに気を感じない。
悟空は起き上がって辺りを見渡すと、此方を見つめる若い女性が宙に浮いていた。
目を合わすなり、ゆっくりとお辞儀した。
「お久しぶりです、悟空さん。お元気そうで何よりです。」
「いぃ!?お前・・・か!?」
悟空が驚くのも無理はない。
まだ少女だったの身長はぐんと伸び、顔つきも女性らしい形になっている。
しかし、一番驚いたのは『気』のことだ。
「故郷へ戻り、体を鍛えながらもう一度旅に出たんです。
長い月日をかけてようやく治療方法が見つかり、この通り全快しました。
そして更に修業を重ね、村長の言う『神』の領域まで達することができました。」
「えっ・・・・・・てことはもゴッドになったんか?」
「ゴッド?さあ、私も初めてのことなので詳しくは分かりませんが・・・・・・
こういう時こそ、勝負した方が早いのでは?」
そう言ったに悟空はぽかんと口を開いた。
だがすぐにニッと笑みを浮かべた。
「へへっ・・・・・・お前の口からその言葉が出て来るなんてうれしいぜ。」
「ちょっとびっくりさせようと様子を窺ってまして、
私と戦いたいと言ってたから・・・・・・悟空さんらしいです。」
「なんだよ、ずっといたんなら早く声かけてくれよな!」
文句たれる悟空に思わずクスクスと笑みを浮かべた。
「ふふ、すみません。では・・・・・・。」
が息を深く吐いた途端、周りの時間が止まったように感じた。
カッとの体が光った。
彼女の体を包む明るい紫色の気に、紫がかかった黒髪も同じ紫色で輝いていた。
本来の超サイヤ人なら金色に輝くはずの光景に、悟空はゾクリと興奮を感じた。
「すっげぇなあ・・・・・・は紫になるのかあ。」
「あなたも超化しないのですか?」
「いいや、今はこのままでいく。さあ、かかって来い!」
悟空の余裕ある挑発に、ピクリとの肩が動いた。
微笑を浮かべているが、そこには何処かムッとしたようなものが表れていた。
「本当に相変わらずですね。わかりました、すぐに本気を出させます。」
そう言った同時に腹部に強烈な痛みを感じた。
いつの間にか目の前に来ていたの容赦ない拳が、悟空の腹にめり込んでいた。
だが、すぐに気を持ち直した悟空はから距離をとった。
エネルギー破は使っていなかった。たった一撃で・・・・・・悟空は心底楽しそうに笑った。
「いちちち・・・・・・そういうとこ変わってねぇなあ。
でも、今のは危なかったな。オラも見せてやる!」
悟空の気が一気に解放され、瞬く間に髪と目が赤色に変化していた。
さっきよりも一段若く見える。
自分と同じように気を感じなくなったことに、は驚いていた。
「それが悟空さんの言うゴッド、ですか?」
「ああ、超サイヤ人ゴッドってやつだ。」
これを見せたのは破壊神ビルス以来だと悟空は言った。
また、この姿になれるとは本人も内心思っていなかったようだが、
これなら満足に戦える現状でそのことからすぐ頭から抜け落ちていた。
ワクワクしていたのは、も同じだ。
互いの攻撃がほぼ同時にぶつかった。
拳を振っては避け、相手も同様に繰り返す。
ほぼ互角の力だとお互いにそう感じ取った。
「流石、悟空さん。私の知らない間にそんな力を身に着けていたなんて。」
「ハハ、お前こそ、前の時とは全然違ぇぞ。」
「ええ、私の戦いを妨げるものは、もうなくなりましたから。」
の気弾が先攻に出た。悟空はそれを弾き、かめはめ破を放った。
はその場から動かず、更に構えをとって声を上げた。
「はあっ!」
気合いだけで攻撃を吹き飛ばしたのだ。
思わず感心の声を上げた悟空をよそに、次の攻撃が油断の隙を与えた彼を襲った。
巨大なエネルギー玉だ。
ビルスの破壊玉ほどではないが、今の悟空に眠気覚ましにはピッタリだ。
宇宙までふっ飛ばされ、何とかエネルギー玉を回避した時には地球が見えていた。
以前とは比べようのない見違えた彼女の強さに、更に笑顔を浮かべた。
師匠として、成長したの姿に嬉しさを隠せなかった。
「すっげえなあ、・・・・・・ここまで強くなったなんておどれぇたぞ。
でも―――。」
まだまだぁ!と両手を上に掲げて叫んだ。
二人の戦いを止める時間制限はもう存在しない。
元気玉を繰り出そうとする悟空に対し、は好戦的な笑みを浮かべた。
戦いはまだ、始まったばかりだ―――。
念願の再戦