*BSR4家康ドラマルートのその後
*あまりにも報われなさすぎるエグイ展開に思わず書き殴ったものです
*家康は自分がループしてることを不思議に思っていません
*結構病んでます
もうすぐ夕日が沈む。
関ヶ原の戦いが終わり、何度目かの一日が終わろうとしている。
いつからだろうか、この夕日を美しいと思わなくなったのは・・・・・・
戦が無くなり、民が太陽のような笑みを浮かべ、
賑わう理想であった風景が今や心苦しいと思うようになったのは―――。
「ん・・・か。久しいな。」
フッと姿を現した忍に対し、家康は変わらぬ笑みを浮かべた。
だがそれは、親しい者が知るいつもの笑顔ではない。
「・・・追い出さないの?」
「ハハ、それは今更だな。
お前が皆の目を盗んで会いに来るのはこれが初めてではないだろう。
最も・・・正面から来るのを難儀にさせたのはワシだ。」
その言葉に、は目を伏せた。
「刑部はもちろん、三成も薄々感じてた。あんなやり方をするのは家康じゃないって・・・。
あの時本当のことを言えばこんな・・・!」
「。」と遮るように名を呼んだ。
「三成にとって秀吉公はどんなに偉大であったか分かっているだろう?
あのまま放っておけば、自ら命を絶つかもしれない・・・
ワシがどんな言葉をかけようが、秀吉公の存在には敵わない。」
「うちらに・・・三成を止められる力がないから・・・?
否定はできない・・・けれど、もっと他にあったはずだッ!
どうして康にぃは、一人で抱え込もうとするんだよ!」
感情を露わにするのは、忍が一番してならないこと。
家康の目の前にいるのは最早、人の子でしかない。
だがその者を咎めようとしなかった。
「すまないが、決めたことを撤回はしない。
三成の怒り、憎み・・・もちろんお前達のも、ワシが全て受け止める。」
はっきりと言われたは、これ以上は言わなかった。
皆に怪しまれる前に帰るんだと促す。
は何も言わず、ちらりと家康を一目見ると音もなく立ち去った。
数分も経たない頃に、忠勝が家康の元に姿を見せた。
「すまないな忠勝。がここに来たことは漏れてはないな?」
「・・・・・・!」
「・・・よかった、ありがとう忠勝。少し早いが休んでくれ。」
忠勝はじっと長く使える主を見るが、すぐに席を外した。
すまないと、と小さく呟いた。
こんな自分にいつまでもついて来てくれる忠勝は実に自分には過ぎたる友だ。
も、自分が豊臣から離れても、今もこうして時折会いに来てくれるのに・・・・・・。
その優しさが逆に、罪悪感を煽らせる。
「皆・・・すまん・・・・・・。」
関ヶ原の戦いに身を投じたのはこれで何度目になるのか。
幾度もやり直そうとしても、結果は悪い方向へ転がるばかり。
皆が心から笑って幸せになるためにどうすればよいか・・・・・・。
そこでふと、家康は顎にあてた手を放した。
「そうか・・・何故ワシはそこに気付かなかったんだ。」
初めから会わなければいい・・・・・・そうすれば誰も傷つかない。
もし、また『徳川家康』の人生をやり直すことができるのであれば・・・・・・。
再び零に戻して
2016/02/20