全く理由が分からずガイアという惑星に来てしまい、
自分たちが知っているトランスフォーマーとは別のサイバトロンとデストロンに挟まれ、
運悪く後者に捕まってしまったのが始まりであった。
を捕まえたのはスタースクリーム。しかし自分が知っている奴とはかなり違った。
狡猾な考えを持つ辺りは同じだが、機体は暗めのコバルトブルーに女性的な喋り口調。
リーダーに忠実かつ冷静な判断を下す。
自分がよく知っているスタースクリームは野心家で人望がない嫌な奴とは程遠かった。
だが、この世界のスタースクリームも詰めが甘かった。
監視がいないのを見計らって人間には大きすぎる鳥籠から抜け出し、自力で宇宙船から脱出した。
現時点で一番信頼できそうなサイバトロンに身を寄せ今に至るが、
それを機にスタースクリームはしつこくに迫った。
ここのスタースクリームもプライドを傷つけられて変に執着心を持つタイプらしい。
「いい加減諦めなさい!アンタを逃してしまってから上の弟君がうるさいのよ!」
「知らないよ、そっちの事情なんて。あんたこそ何でそんなに私に関わる?
この星の住民は人質として価値はあるから?」
「それはないわ。この惑星にいた彼らはとうの昔に脱出した。
私達に対して知識がある以上、ガイア人じゃなくても利用価値は十分よ。」
何だ、知ってたのか。
「それより私が言いたいのは!アンタの行動よ!
船の中にずっといればいいものの、水浴びするならその恰好をどうにかしなさいよ!
アンタの周りは異族だろうが所詮、男!襲われたって文句言えないわよ!
それとちゃんと体を拭きなさい!仮にも女で、今の所アンタしか人間いないんだから
体調管理しっかりなさい!」
口を開けばすぐこれだ・・・・・・。
スタースクリームは私に会うなり、ああしろ、こうしろと母親のように説教たれる。
わざわざ付き添いのキッドから離してまで言うのならあの場で直接すればいいのに。
「ちょっと、何でため息つくの?そうしたいのはこっちよ!
まったく、往生際が悪いったらありゃしない・・・。」
「じゃあハッキリさせてよ。」
「な、何をよ?」
が力籠った言葉に思わずたじろいだ。
トランスフォーマーはたまに人間臭い仕草をするものだから、どうも嫌いになれない。
「あんたは、私を捕まえたいんだよね?
だけど一向にそうしようとしない。本当に捕虜する気あるの?」
「そ、それはアンタが一向に・・・。」
「最初のように問答無用で捕らえたのに今はそうしない。
おちょくるのならもう関わらないでくれないかな?」
はこの世界には存在しないー彼らからすればイレギュラーなもの。
本音を言えばどの軍にも関わりたくないが、
全く知らない星で一人生き延びるためには周りの助けが必要だ。
ここでも何かと対立しているサイバトロンとデストロンだが、
何かと話を聞かないことが多い司令官ではないし、
オイル癖が悪い新破壊大帝さえ物分かりがいいというか、ほぼ敵意を感じない。
そんな感じで気づけばまた両軍と接触してしまったのだ。何だこのデジャヴ。
簡単に言うと、これ以上関わって世界がひっくり返る(多分ないと思うけど)
騒動にまで発展してしまったら私にはとても背負えない。
というか背負いきれない、重すぎる。
なので思いきってこの曖昧な関係を断ち切ろうと思うのだ。
「私はサイバトロン以外行く気はないし、君達の捕虜にもならない。
また来るのなら本気で―――」
「それなら私も一言あるわ―――私の気が変わらない内にこちらに来なさい。」
「いや、だから人の話聞いて・・・っ!?」
が言い終える直前に大きな振動と音が周りを包む。思わず耳を塞いで地面に伏せた。
「っ・・・・・・何なんだよ今度は・・・。」
そろりと顔を上げてピシリと固まった。
スタースクリームと共に行動している巨体なデストロンが目の前にいるのだ。
だが、固まるを見下ろすだけで何も発しない。
「全く・・・相変わらず手荒な連中ね。流れ弾が当たったらどうすんのよ。」
「スタースクリーム。」
「ええ、よくやったわBB。戻るわよ。」
視線を再び下に向け、未だに固まるに声をかけた。
やっと我に返ったはBBからスタースクリームを見る。
「今日は一旦引いてあげるわ。けど、これからは嫌と言われても連れていく。」
「あ、そう・・・。」
「そこでアンタを一から着飾りして生活しやすい環境を整えるよう
できるだけ善を尽くしてあげるんだから文句は言わせないわよ。」
「そうか・・・・・・はっ!?」
今なんて!?と聞き返すよりも先にスタースクリームたちは空へ飛んでいた。
とてもデストロンが言いそうにないセリフを何故・・・?
「わからん・・・ここのスタースクリームもよくわからんぞ。」
頭を抱えるをよそに、スタースクリームは女子力の高い洋服を作るのに精を出しているなど、
本人は思いもしないだろう。