*鬼の一族夢主(幼女) *完全なる捏造によるギャグ ある山奥にひっそりと生活している鬼の一族を発見。 全て始末したと思った矢先、一人の子供が生き残っていた。 鬼の一族は全滅させろという命令だったが、急遽「その子供を連れて来い。」と変更を下された。 恐怖で硬直していたその子供達は何か(・・)に触発されたかのように殺意を抱いて飛び掛って来たが、すぐに気絶させる。 人間の子供の肉は柔らかく、しかも鬼の血が流れているのもあって食欲をそそられたが、 上級幻魔に見られたらどうなるか目に見えているのでそこは何とか抑えた。 奴らが住んでいたあとを残さず山を焼き払い、唯一の生存者をわきに抱えてその場を後にした。 *** 「待て小娘!まだ実験は終わっとらんぞ!」 「さっき採血で終わりだって言ったの、あんたでしょ―――!」 「それで終わり(・・・・・・)とは言ってない!いいからこちらへ来い!」 「やだ―――!!」 薄暗い地下室に似合わない子供の大きな声が反響する。 ギルデンスタンと呼ばれる人間とは程遠い異形の姿に、その子供は追われていた。 「お前達!その人間を捕まえろ!」 前方で待機する下級幻魔に命令するが、その子供が「言うこと聞いたらもう遊ばないからね!!」 ―――そう叫ぶと途端、下級幻魔の二体は頭を低くして壁際に下がった。 「馬鹿者!人間如きの口車に乗せられるな!!」 ギルデンスタンの叱咤が飛び交う中、例の子供はそのままスピードを落とさず前進する。 振り返ってようやく距離が取れたことにほくそ笑むよそに、前から何かにぶつかった。 「いったあ〜・・・。」 「・・・・・・。」 「あ!マーセラス!」 壁か柱にぶつかったとばかり思われていたそれは、ギルデンスタンによって生み出された造魔である。 般若のような顔付きで、子供がぶつかっても、その表情が崩れることはなかった。 自分より何倍も小さい人間の子供を見下ろしたまま無言を貫く。 「よくやったマーセラス!その娘をこちらに連れて来るのだ!」 「・・・マーセラス・・・・・・。」 不安気に見上げる子供をしばらく見つめると、その小さな体を片腕で抱き上げた。 さっきまで抵抗していたはずの子供はこの時ばかり縮こまっている。 「よし、そのまま私に渡すのだ。」 さあ、と手を伸ばす生みの親にマーセラスは一歩引いた。 「―――おい、何をしているマーセラス。」 もう一度近づこうとするも、また一歩下がる。・・・と言うよりどんどん距離が離れている。 明らかな態度にギルデンスタンは怪訝な表情を浮かべた。 「マーセラス命令だ。その娘をこちらに渡すんだ!」 「もう!僕の名前は『小娘』や『人間』じゃない!だッ!!」 「やかましい虫ケラめ!貴様の命はいつでも消せるという状況を分かっていないようだな!」 猫のように逆立て、『』と呼ばれる幼女の側から殺気を感じる。 それはこの娘ではなく、マーセラスからだ。 あろうことか、自分の最高傑作に殺意を向けられているのだ―――この私が。 「マ、マーセラス・・・貴様・・・。」 最後まで言わせんとばかりにを抱えたまま頭上に穴を開けて、その場を去っていった。 いい実験材料になると三つ目に連れて来いと言ったそばからこの有り様だ。 本来なら敵である鬼の一族の末裔を生かすことはない。ましてや幻魔と仲良くなろうなど前代未聞だ。 「だが、それがいつまで続くか・・・。」 幻魔の中で特に友好な様子を見せるマーセラスに人間らしい情は一切ない。 その体に同胞(・・)の血が流れているせいだろうか。 その血に反応してあの娘に仲間意識を抱いているとは皮肉な話だ。 近い内にマーセラスの改良を施す必要がある。 その絆は本物か偽りか