*JOJO混部×コナン
隣町まで来たというのに何故事件に巻き込まれなきゃいけないのか。
一緒にいた友人たちが勝手に実にくだらない理由で何度もケンカし出すから放って一人になった罰なのか。
どちらにしろ、せっかくの休日がパーになってしまった。居合わせた現場の雰囲気は最悪だ。
死体を直接見てしまって顔面蒼白になっている人やこれから大事な商売があるのにどうしてくれるんだと
怒鳴り散らす人など、嫌でも耳に入ってきて敵わない。
そんな中に私と同様に巻き込まれたであろう若い母親は震えつつも泣きじゃくる赤ん坊をあやす。
犯人が捕まらなければ不安の毎日を過ごさなきゃいけないのだから当然の反応だ。
「すみません、貴女にも話を聴きたいのですがよろしいですか?」
私の番が回ってきたので、鞄からタブレットを取り出す。
今までは筆記で会話をしてきたが、デジタル化した時代に伴って機械で対応することになった。
その方が紙やペンを消費しないで済む。最初は手間取ったが、慣れてしまえばなんのその。
ここに来るまでの経緯を正直に伝え、短い礼を頂いた。
事前に自分が失語症であると首からさげているカードを見せているので深く追求はされなかった。
捜査が難航になるかという所で、毛利小五郎という人たちが現れてから状況は変わる。
突然その人が眠った時はなんだ?と肝が冷えたが、眠ってはずの本人が推理し出すのからますます
訳が分からなかった。本人の声のはずなのに本人のものではない。
事件とは全く関係ないことで首を傾げると、言い当てられた犯人の男が逃げ出していた。
こっちに向かってきてるのでぶつかってでも通るつもりだろうが、ここで何もしないわけにはいかない。
人を殺した挙句逃げるのだからキツ〜イお灸を据えてやった。実際何をしたかは察してください。
ていうかドラマといい、この男もなんで自ら罪を重くする真似をするんだろう?
「大丈夫?お姉さん、ケガない?」
毛利さんと一緒にいた男の子だ。さっきまでどこに隠れてたの?
彼の目線に合わせてしゃがんで、大丈夫と頷く。
「さっきはおじさんがごめんなさい。お姉さん、犯人じゃないのに言いたくないことを
言わせるようなことさせちゃって…」
言いたくないこと…ああ!失語症のことか。
あれはしょうがない、普段から失語症の人が周りにいないからこそ疑ったんだろう。
そういうこともあって普段から利用している医療財団の連絡先や診察記録となる書類を持ち歩いている。
こんな状況で使うことになるのは初めてだけど。
《異常事態だったんだし、疑うことは間違ってないよ》
「でも…」
「あの」
っ…びっくりした…いつの間に後ろに立ってたんだ!?この人、人間だよね…?
「驚かせてすみません。僕は安室透といいます。先程はプライバシーを侵害する行為をしたこと、
先生の弟子として謝罪します」
《あの、この子から話を聞いてるのでもう十分ですよ》
その毛利さんからも直接謝罪を貰ったし、犯人も捕まったし、物事終われば全て良し。
けれど相手はまだ納得していない様子。
「そういえばお昼は済ませましたか?せめて食事だけでも振る舞いさせて下さい」
「それいいね!小五郎おじさんの事務所の下に喫茶店があってねえ、
安室の兄ちゃんそこで働いてるんだ。ハムサンドとかとっても美味しいんだよ!」
「ありがとうコナン君」
へえ、と素直に興味を持つ。
事件のせいでお昼を食べ損ねたし、ここで応じないとこの人達止まらないだろうし。
《連れが二人いるんですが彼らも一緒にいいですか?》
「ええ、勿論」
快く頷いてくれたことで私はここにはいない二人にメッセージを送った。
***
「お前こんな所にいたのかよ〜!こっちは腹ペコだぜ!」
「一人にさせて悪かった。もうくだらんことでケンカしたりしないから」
喫茶店ポアロにやって来たガタイの良い外人二人の登場に、客と店員はあんぐりと口を開く。
どちらも身長180センチ以上は超えている上、顔がいい。
しかも片方が名前を出したことで、連れが彼らであることが判明した。
「まさかどちらも男…それも外国人…」
「なぁ〜んだアンタ?俺の顔に何かついてんのかよ?んん?」
「やめろジョジョ。いらんことで面倒ごと起こすな」
「だーれーが面倒ごと起こすってぇ〜あだぁ!?」
茶髪の男が突然悲鳴を上げて膝を抱えた。小さくなった彼の後ろに、が立っていた。
《他所で煽るな迷惑かけるな。次やったら他人のフリして置いてく》
「いってぇ〜…地味に痛いとこ狙いやがって…」
《謝ってお店の人に》
「連れが迷惑かけてすまない…」
「(シーザーには言ってないんだけどな…)」
「チェッ、いい子ちゃんぶんなよな」
《リサリサ先生にこのこと報告する》
「ガン飛ばしてまことにすみませんでしたァー!!」
さっきまで謝る気がなかった青年が綺麗な角度をつけて頭を下げた。
これといって気を悪くならなかった為、「気にしてませんので大丈夫ですよ」頭を上げるようにと言う。
ここまで態度を一変させるほど、リサリサ先生とは何者だろう?
「お二方も食事ということで合ってますか?」
「ああ。ハムサンドとナポリタン、コーヒーを頼む」
《私もハムサンド。と、カレーとサラダセット、コーヒーをお願いします》
「んじゃ俺も同じの〜」
「かしこまりました」
それだけでは足らず、追加注文も入って厨房は大忙しだった。
見た目に合わず多く食べるはカレーを二皿お代わりした。
お腹を満たした三人は満足気に帰っていった。
結局三人の関係性は?それに答える者はいない。
2023.02.01