*JOJO夢主inゼノバース
*実際トキトキ都にセルジュニアは出て来ません
まどろむ意識の中、私に語り掛ける声により未知なる世界へ導かれた。
明らかに現実のものと違う世界そのものを体感して、これは夢ではないと理解した。
そこで出会ったトランクスという青年からこの世界について、
何故自分を呼び出したのかも聞いた。
改変された歴史を修正するタイムパトロール。
『吸血鬼』『柱の男』と戦って20年も経った今も尚、別の世界でも戦うことになった。
戦いばかり身を投じた影響からだろうか。
きっと、もしかすればまた同じ道を辿るかもしれない―――
すっかり体の一部として身についた独特な呼吸がそう思わせた。
それからどのくらい経っただろうか・・・・・・。
パラレルクエストから帰還し、この世界で出会った師匠と修業をするのが日課となっている。
難なく到着すればだが・・・・・・。
「(来たな・・・)」
今、肉眼で見える範囲にはいないが、ここから遠く離れた場所から空を切る音が聞こえる。
数は二つ。その正体が何なのか、私は知っている。それと同時に「またか。」とげんなりした。
素早くサタン像の物陰に潜む。一分も経たずにその二つの『気』は現れた。
「キキー!」
「どこー?」
セルゲームを開催し、過去に孫悟空たちを苦しめた完全体セルのミニ分身・セルジュニア。
三頭身ほど縮めた姿で見た目は可愛らしいが、性格は悪魔といっていい。
これまで歴史改変の修正やパラレルクエストでは何度か相手をしていたが、
何故かあのチビッ子たちに追われるハメになっている。
この世界にいるセルジュニアと記憶を共有しているのか不明だが、
私を見つけては突進したり、抱き着いてくる。(そうされる理由がどこにあるのか・・・)
私達がいるこの『トキトキ都』には、孫悟空らが倒して来た敵役もいる。
彼らは殺戮や暴動を起こさないのを条件に、『今』は普通に暮らしている。
今まで攻撃されることは一度もなかった為、大丈夫だろうと油断したのがいけなかった。
いなくなるまで様子を窺っていると、セルジュニアが一人いなくなっている。
―――呼吸音が近い!
顔を上げるとミスターサタン像の頭に、その一人がくっついていた。
幸いにも、その視線はこっちには向いていない。
気を抑えたまま、そろりとその場を離れるが、
「最近子供たちが此処へ来るのだが・・・・・・君が相手をしていたのか。」
背後に現れた親御さまの登場に、脳内で遅刻が確定された。
『瞬間移動』がこんなにも恨めしいとは・・・!
「こっちこっちー。」
≪あのね、私は君たちと遊ぶとは一言も―――≫
「キキキキキ!」
「(人の話を聞けぇえええ!!!)」
強制的に始まる鬼ごっこするセルジュニアが今まで私の筆談にちゃんと応えてくれただろうか?
いや、一度もない。唯一、話(というより命令)を聞くのはセルだけだ。
その本人はというと、私がジュニア二人を相手にどれだけ耐えれるか傍観モードに入っている。
最初から期待なんてしていない。こうなったら何が何でも早く終わらせるぞ!
波紋戦士をなめるなよぉおおおおお!!!
***
「楽しかったー。」
「(よしっ、5分以内に終わらせてやったぜ!)」
「もう一回♪一回♪」
≪やらん!!!≫
歴史修正の時もそうだけど、小柄なのになんて体力の持ち主なんだ。
年だからとか言い訳できない。また波紋修業をやるべきかな・・・・・・。
それはそうと、さっきから後ろにいるセルの視線が痛い。
「ふむ、以前より腕が上がったな。地球人にしてはいい線をいっている。」
「(そういえば初めて対峙した時、思いっきり格下扱いだったな・・・)」
「その呼吸法とやら・・・『波紋エネルギー』に興味がある。
セルゲームに参加していればもっと楽しめただろう・・・・・・。」
ああ、別次元の人間でよかった!
―――なんてセリフを言うことになるなんて誰が思うだろうか。
≪じゃ、急用があるので。≫
「まあ待て。せっかくの機会だ。私と手合わせしないか?
ピッコロの元で鍛錬するよりずっといい経験になると思うが?」
「(・・・あ?)」
今の凶悪顔ならピッコロさんに勝てる気がする。大人気ない・・・?
ここにいる間だけ師弟の間柄だけど、師匠を侮辱されて黙ってるほど大人しくないんだ。
怒りで気が高まるのを感じる。セルは待っていたと笑みを深めた。
そこへ嫌な予感を感じ取ったトランクスがやって来た。
「ちょっ…何をしているんですかさん!ここで力を解放されては・・・!」
「やめておけトランクス。貴様の相手をしても構わんが、それでは彼女の気は済まないだろう。」
・・・ごめん、トランクス。
ピッコロさんにも、後で謝らなきゃな・・・・・・。
***
「―――言いたいことはそれだけか?」
「(・・・すみませんでした)」
「殺す気でしごいてやる。」
「(ふげぇっ!)」
結局、30分遅刻した。
***
ビルス編までクリアしたらもう敵なしだと思う。