*PQ【奪還!ドラゴンボール】から派生ネタ
何故かドラゴンボールを集めているセルジュニアを倒しつつ、
集まる前に7個を回収することに専念した。
正史ではドラゴンボールにまったく触れていなかったので、
今回何故そう至ったのかトランクス自信も首を捻っていた。
セルジュニアの方も、いつもの余裕の笑みはなく、どことなく焦っていた。
あと1個だ!という所で、セルジュニアも執念深く粘っていた。
絶対手放さないぞ!という気がひしひしと伝わってくる。
どうしてそこまでこだわるのか、疑問はますます膨らむばかりだ。
気功破を放ち、セルジュニアの腕から飛び出したドラゴンボールをキャッチした所で、
新たな敵が現れた。
「ごきげんよう、お嬢さん。」
「(まどろっこしい挨拶はやめろ)」
そう訴えるようにギロリと睨んだ。
新たな敵―――セルは不敵な笑みを崩さず、わざとらしく肩をすくめた。
姿を現している時点で今回の件はセルが鍵を握っていることは確かだ。
核心に迫りたいところだが、ドラゴンボールを抱えているため、
安易に筆記で問いだすのは難しいし、その隙に奪われてしまう。
それを悟ったのか、セルはクツクツと喉を鳴らした。
「何故ジュニアがドラゴンボールを集めているか知りたいようだな。」
セルの問いに私は頷いた。
「ならば本人直接に訊くといい。」
「(はっ・・・?)」
何を言ってるんだ、コイツは。
ドラゴンボールを狙ってるのはあんたじゃないのか?
その様子からするとそうじゃないらしい。セルが顎で後ろを指す。
後ろといったらセルジュニアしかいない。まさか、この騒動の犯人はこの子達だというの?
「キキー!」
ドラゴンボールではなく、懐に入れていたスケッチブックとペンを奪い取った。
セルジュニアの何人かはまだ人語を喋れない。目の前にいる子もその一人だ。
慣れない動作で悪戦苦闘しつつも、書き終わったスケッチブックを私に見せた。
≪、ずっとここにいる。≫
「(へ・・・?)」
間の抜けた顔をする私を無視して、もう一枚紙をめくった。
≪要、面白い、好き。≫
≪ボクらと、ずっと遊ぶ。≫
一区切り付けながら、子供らしい字がそう訴えている。
予想外の展開にあいた口が塞がらなかった。
私はもう一度セルに視線を向けた。
「そういうことだ。」
「(そんなこと言われても、こんなことが・・・・・・)」
「信じられんのは無理もない。子供だからとはいえ、私の分身であることには変わりない。
人に懐くどころか、好意の情すらなかったはずだ。お前と出会うまではな。
歴史修正といったか・・・・・・時の界王神とやらの使命を終えたお前が
元の世界へ戻ると知ってから、自分たちの意志で行動したのだ。
ジュニアたちに影響を与えたお前がそれほど、この子たちにとって重要ということだ。」
今まで戦った数を重ねてきたが、今ここにいるセルジュニアからは、
当時と比べて悪の気がほとんどない。
同様に苦しめられた経験を持つZ戦士たちも驚くほどだ。
セルジュニアが私に構うのは、セルにある好戦的なものからだとばかり思っていたが、
私に向けるこの純粋な目には、母親に構ってくれといわんばりのものだ。
じっと見下ろす私に対し、セルジュニアはぎゅっと私の上着を握った。
その姿が、甘えたての自分の子供を思い出させた。
あれから二十年経つけど、小さかった天使はどれだけ成長したのかな。
「?」
「(何でもないよ)」
悟られないようセルジュニアを抱き上げた。
ぽすんと腕の中に納まるセルジュニアはきょとんとしたが、
構ってくれるんだと理解して自分の体を預けた。
ぽんぽんと頭を撫でていると、コホンと咳払いが聞こえた。
あ、そうだ、いたんだった。
「邪魔するところ悪いが、ドラゴンボールを全て回収するのではなかったのかね?」
「(あ・・・・・・)」
セルジュニアが不安気に見上げて来る。
私は大丈夫だと頬を軽く撫でた。
≪ジュニア、君たちの言いたいことがどうであれ、仕事は仕事だからね。
ドラゴンボールは文字通り回収させてもらう。≫
「キ・・・。」
≪一生は無理だけど、元の世界に戻るまでまだまだ掛かりそうだし、
タイムパトロールの仕事もやらなくちゃいけないからね。
そこで提案があるんだけど聞きたい?≫
「キー!」
≪明日、仕事が早く終わったら休日なんだ。≫
「キ?」
≪もし、君が乗ってくれるならセルをブッ飛ばしてほしい。≫
「なっ!?」
驚くセルを無視して筆記を続けた。
≪そうしたら一日中、一緒に遊んであげるよ。どう?≫
「ウキキー!」
「まっ、待て、話が違っ―――」
セルが全て言い切る前にセルジュニアのかめはめ破がぶつかった。
それを合図に気絶していた残りのセルジュニアたちも加勢するようにかめはめ波を、
一応親でもあるセルに放つのであった。
ランクはいいとは言えないが、足元に集まるこの子たちを見てたらどうでもよくなった。
え?何であんなこと言ったかって?トランクスを痛めつけた罰だぜ。
***
セルさん好きなのにこんなひどい扱いで申し訳ない。
この夢主相手にどう甘くしろと・・・?