*エメラルド沿い アクア団やマグマ団、どちらも属さない若きポケモントレーナーとは別に、 我らの目的を邪魔するポケモントレーナーがいる。 ジョウトから渡って来たリーグ経験のある金髪の少女。 最初に言った若いポケモントレーナーより年上だが、 まだ20代にも満たない幼さも残す。 名前は。 若いトレーナーはハルカとユウキと聞いたが、 はその二人と二、三度会った程度しかないらしい。 ハルカとユウキとは違って積極的ではないことに、 彼女が協力的に動いてるとは考えにくい。 会う度に向けられるその瞳に、怒りや哀れみは一切ない。ほぼ無表情である。 この女が何を考えているのか分からない・・・・・・。 カイオーガが目覚め、予想外の大雨で危険に晒されてる中、 それにも関わらず自分達より落ち着いているに、アオギリは思わず呟く。 「お前は怖くないのか?」 「え?」 かなり間の抜けた声で返す本人に対し、益々眉間にしわを寄せた。 この異常事態だというのに何故そう冷静でいられるのか。 「逆に訊くけど、何で怖がるの?」 「・・・は?」 問われることなんてないだろうとは思いもせず、 今度はアオギリが同じ声を発した。 「いや・・・さ。だって日照りとか大雨とか、 天候に影響を与えてるのはあのポケモン達だけど、 その原因を作ったのはマグマとかアクア団? 人間の身勝手な理由でやったんじゃんか。」 それは最もなことだ。 この現状の為にやったわけではないと嘆きたいところだが、 今の自分にそんな反論も出す資格はない。 「私、頭良くないから自分が言ってることが正しいとは思っていない。 でも、原因不明の病で死ぬことにビクビクしてた昔の自分とは違う。」 この状況だからか、さらりと爆弾発言したことに気付かなかったが、 自分に真っ直ぐ向けるその瞳は相変わらず、『負』を感じさせない。 「まあ、そのージョウトでも何とか団?という悪事にも遭遇してるしね。 この異常気象は私も初めてだけど、今回も何とかなるでしょ。」 出て来た言葉はアレだが、今までポケモンと難を乗り越えたというのもあってか、 不思議と納得させられる。 「―――い、・・・・・・おいアオギリ!聞こえているのか!?」 「あ"っ!?あ、ああ・・・・・・。」 「一向に我々の言葉を聞く様子もない・・・・・・一体どうすれば・・・!」 「狼狽えるなマツブサ。らしくないぞ。」 「なっ・・・!?」 激しい雨に打たれながらも、アオギリは思い返した。 えんとつ山でに投げた自ら言った言葉を。 「お前はどちらの味方なんだ?」と―――・・・。 答えなど愚問である。 姿が見えないあの少女はこの危機的状況を打破するべく、 今回も成し遂げる―――そんな予感を抱き、 後に上空から現れる超古代ポケモンを目の当たりにするのだった。 叫ぶことしか出来ない自分