*クロスオーバーだけどSCP寄り D-111131がへと本名で呼ばれるようになって、また彼女の生活は変わった。 自由に出歩けるSCPだけでなく、Cクラス以上の職員たちに話しかけられるようになった。 軽い挨拶から他愛もない会話、今まで関わったSCPについてとエトセトラ。 Dクラスでは一生お見えになることはないであろう人物まで現れた。 「やあ、Cクラス昇格おめでとう。お近づきの印にこれを受け取ってくれ」 財団一の問題人物のジャック・ブライト博士からSCPを渡されそうになったが直感から手を遠ざけ、 探し回っていた職員らがブライトを囲んだことから事なき終えた。 これを機にを実験で試そうとするブライトが何度も目撃される。 やってはいけないリストに新たに加わったのは言うまでもない。 おかしい。Dクラスといえば掛け捨て要員だと聞いていたのに何故こうなった。 「それはそうだとも。Dクラスの人間が格上げされるのは今までにない。  そのクラスの殆どが死刑囚であるからね。ありえない立場を覆した。  周りが君に興味を抱かないわけがない」 手術以外に流暢に喋るペスト医師に驚くところだが、今は彼の言う内容に表情を歪めている。 「死刑囚でもなく、ただDクラスだけだというのに・・・結局目に留まるのか」 「ふむ・・・君は以前ジャーナリストだったか?  これまでの会話を思い返すとその仕事への意欲や積極性に欠ける。とても表に立つ性質ではない」 「その通りです先生」 淡々と相手の本質を読み解れ、医師と呼ばれるのは伊達じゃないなと改めて思う。 以前自分をいろんな場所へ連れ回していたあの男もそうであった。 「例の彼のことかい?」 「ええ」 自分が脳裏に浮かべていた人物を言い当てられ、素直に頷く。 私って顔に出やすいタイプだったのか? 「君の夢が叶うといいね」 夢とほどまではいかないよとは苦笑いした。 *** 割り当てられた部屋で横になりながらは天井を見た。設置されている監視カメラのランプが定期的に点滅している。 マイルズは愛用のビデオカメラを持って姿を消した。 あの施設から脱出して財団の保護下に置かれている間にも新たに雇われた軍隊が様子を試みたが、 誰も帰還を果たしていない。マイルズの情報が未だ上がっていないのはそのせいだ。 生きていたとしてもマーコフが黙ってるはずがない。多分、もしかしたらという微かな期待が脳を占める。 ワールライダーやSCPの存在を知ったからなのか、誰もが否定したくなることすら縋るようになっていた。 財団に収監されてもうすぐ一年経とうとした頃、仕事中に別の職員から呼び出された。 「、君が以前話してくれた施設に特殊部隊を派遣した。  最後の一人が回していたビデオにあるものが映っていてね」 これを見てくれとモニターに映像を流す。暗闇のため暗視機能で撮影して画面にくっきりと映った物体。 それが人型で、それは何なのか理解した同時に、セナの口角がつりがった。 2019/05/16